橋本裕の日記
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| 2005年12月20日(火) |
実力主義で若い世代を育てよう |
堀江貴文さんは「稼ぐが勝ち」(光文社)で、若者が働かないのは、賃金が安いからだと書いている。たしかに仕事が出来ない中高年層が高給をもらっているのに、若くて能力も実力もある人たちが、その半分以下の給料で甘んじているのはおかしい。
会社に長くいたというだけで定期昇給があり、給料がきまった額だけ毎年高くなるというのはどう考えても合理的だとはいえない。給与体系を変えて、若者にその実力にみあった給料を払えば、若者の勤労意識も高くなり、社会全体が活性化する。ニートとかフリーターも少なくなるのではないか。
現在、日本の個人金融資産はほとんど65歳以上の老人が持っている。そしてこの豊かな世代の経済力に、それより若い世代が依存し、援助して貰っている構造がある。これはおかしい。
お金が必要なのは大学時代や、社会出てから結婚して子育てをする間だ。このときにお金がないと、親に世話になることになる。学費も結婚資金も、住宅資金も親が面倒をみなければならない。こうしたことが当たり前になっている社会は、不健全であり、教育的な社会ではない。
高校を卒業したら、もう親の世話にならないでも、自分の力で生きていくことが人間形成にも大切なことだ。年功序列型の賃金体系をやめれば、若者は必要な生活資金を自分で稼ぎ出すことがでる。そして親はもはや子供に経済的援助を与えなくてすみむ。
したがってこうした実力主義の給与体系は、長い目で見れば中高年層にとってもメリットが大きい。これによって子供の親離れが可能になり、若者が経済的に独立することで、中高年の世帯の家計は軽減される。
しかし、日本の企業はなかなか年功序列を改めようとはしないだろう。なぜなら、このシステムにはそれなりのメリットがあるからだ。
(1)若年労働者を低い賃金で雇える。そして賃金が高くなったら不必要な労働者を解雇することで、人件費が浮く。
(2)必要な労働者を会社に囲い込むことができる。なぜなら長くいることでしか、メリットが享受できないから、会社に従順な社員を養成することができる。
(3)給与の査定が面倒でない。横並び意識の強い日本人のメンタリティにもあっている。
年功序列の賃金体系は、戦時中に作られた。もともと労働者を搾取するための労働支配の道具だった。戦後、高度経済成長の時代はこれがうまく機能していたが、産業構造が変わり、労働形態が変わるなかでほころびが目立ってきた。給与体系を実力主義に変えるべきだという点で、私はホリエモンに同感している。若い世代から搾取すべきではない。
しかし、実力主義、能力主義の給与体系を、現在の中高年世代にそのまま適用するのは残酷な事情がある。彼らは若いときには安い給料で働いてきた。これも年功序列の賃金体系により将来の高給を約束されていたからだ。ここにきて、年功序列ではなく、実力主義だ、成果主義だというのはフェアではない。会社側にとっては有利だろうが、社会正義から考えて妥当なものとはいえない。
これから新しい会社ができてくる。そうした会社では年功序列ではなく、実力主義の賃金体系を採用してほしい。こうしたところから日本社会の構造が、若い世代を尊重する方向に、少しずつ変わっていけばよいと思っている。
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