橋本裕の日記
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2005年12月19日(月) 「稼ぐが勝ち」を読む

 先日、書店に行って、堀江貴文さんの「稼ぐが勝ち」(光文社)を立ち読みした。題名が示しているように、「お金がすべて」「お金で買えないものはない」というのが彼の考え方だ。「人の心もお金で買える」という考え方は、シンプルなだけに妙なリアリティがある。

<女はお金でついてくる。ビジネスで成功をして大金を手に入れたとたん「到底口説けないだろうな」と思っていたおねえちゃんを口説くことができたりする>

 彼によれば「会社は人を使う仕組み」で、人を使って儲けるためにあるということだ。世の中には人や金をうまく使って「お金を稼ぐ人」と、「人に使われて搾取される人」がいる。上流層と下流層がこれで分かれる。

 こうした富の二極化はすでにアメリカで顕著だが、彼によればこれが本来の資本主義社会のありかたであって、日本もこれからこうした社会になっていく。ただ、この両者が階級として固定されるべきではなく、通路が開かれていることが必要だと書いている。

<経済の二極化によって上流層、下流層という二つの国ができる。でも下流層が上流層に入るプロセスがわかっていれば、2つを自由に行き来できる>

 下流の生活が悪いわけではなく、価値観の問題だから、その人の自由だという。要するに上流層の生活をしたければそれにふさわしい努力をすればいいわけで、それがいやなら下流層の生活に甘んじていればよいわけだ。

 とくに彼が批判しているのは、年功序列的な賃金システムで、これは老人が若者を搾取するしくみだと批判している。これは頷ける点もあって、いささか痛快だと思った。またあらためて私の考えを書いてみたい。

 私も最近は退職後の生活設計を考え始めている。海外に留学したり、自分らしい生き方をするために必要なお金を確保したい。これからは、天下国家の経済ばかりではなく、もっと身近な個人の経済活動にも視点をおきながら庶民経済学の立場で考えようと思っている。

 ホリエモンのように「お金がすべて」とは思わないが、自分流を貫く為にはお金の問題も大切である。そういうわけで、将来の夢をかなえ、人生の可能性を広げ、しかも社会的に意義のある投資には関心がある。

 しかし、投資活動が私の余暇の主流ではない。旅行や英会話、短歌や俳句を楽しみ、倫理学や哲学、文学や科学についても勉強し、これらを人生の糧としてたのしみたい。お金を稼ぐことばかり考えて拝金主義に染まったり、思想的に変質・堕落してはならない。それは人生を貧しくすることだと思っている。

 人の心をお金で買えると考えるのは浅はかである。幸せをお金で買えると考えるのもあさはかである。お金に支配されるのではなく、お金を活用して、自分の教養を高め、周りの人々を幸せにできる生き方ができればと願っている。

 薄明かり障子に浮かぶ冬木立  裕


橋本裕 |MAILHomePage

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