橋本裕の日記
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2005年12月16日(金) 社会人の娘との会話

 先日、雪の日の午後、看護士をしている長女が、自分の車で私をJRの駅まで送ってくれた。とびきり寒い日だったのでたすかった。娘とこんな会話をかわした。

「以前は私がお父さんに駅まで送ってもらったわね」
「そうだな、いつか立場が反対になったな」
「今度、何か買って上げるね。それとも食べ物がいい?」
「ああ、何かうまい物を食べさせてもらおうかな」

 少し前まで高校生だった少女が、春に大学を卒業して、今はもう一人前の顔をして病院で働いている。収入も結構よいようだ。社会人一年生でありながら、この冬のボーナスが手取りで50万円以上あったときいて、少し驚いた。

 その分、仕事も厳しいらしい。一般病棟ではなくて、重症患者ばかりあつかう部署に配属されたので、片時も気が抜けない。とくに看護士が二人しかいなくなる深夜の勤務の時は、何か起こるとたいへんだから緊張するという。ときには8時間、トイレに行けないときもあるらしい。職業柄、患者の死を看取ることもある。

 それでも自分の選んだ道なので、文句は言えない。「疲れた、寝不足だ」と言いながらもがんばっている。患者さんや家族の「ありがとう」という言葉に加えて、結構な収入が、何よりもの疲労快復剤になっているようだ。

 娘の元気に働くすがたを見ていると、私も元気がでてくる。いろいろと苦労したが、やはり子供を一人前の社会人に育て上げたということは、私たち夫婦の一番の社会的貢献ではないかと思っている。何でもないことだが、この平凡なことが大切なのだろう。

 長女が社会人になって、私の扶養家族が一人減った。これで大学3年生の次女が再来年に独立すれば、私の肩の荷もずいぶん軽くなる。「そのときは、あなたのお小遣いを上げてあげてもいいわよ」と妻に言われている。まだ少し、先のことだが、これもありがたい。


橋本裕 |MAILHomePage

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