橋本裕の日記
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姉歯設計事務所の耐震強度偽造が問題になっている。昨日の朝日新聞に神戸市在住の一級建築士の斎藤さんが、「地震に対する強度こそ絶対に妥協してはならない大切なものです」と意見を寄せられていた。
しかし現実には施主はデザインやコストを重視し、構造についてはあまり関心を持たないという。施行検査や構造診断を専門にしている斎藤さんは、「私にとって大きな驚きではない」と書いている。
姉歯事務所が係わった物件は青森県から鹿児島県まで22都府県に及び、194を越えるマンションやホテルがあるという。マンションの住民のなかに不安が広がり、営業を見合わせるホテルも続出している。
昨日の国会で行われた国土交通委員会には姉歯建築士は欠席したが、建築の建設や審査、販売を手掛けた木村建築やイーホームズ、ヒューザーの社長が参考人として出席し証言していた。
姉歯建築士の不正が分かり、イーホームズの担当者が国土交通省に報告したところ、「報告の必要はない」との答えが返ってきたという。また、ヒューザーの小嶋社長からイーホームズの藤田社長に公表を控えるように圧力があったという。この部分を今日の朝日新聞から引用しよう。
<藤田社長は次々に新たな「事実」を明かした。「(偽造を)公表して何の意味があるのかと(小嶋社長に)言われました」「どんな弁護士を使ってでも徹底的にたたくと言われました」
小嶋社長は声を荒らげて「公表するまでに相当程度お調べする時間が必要と申し上げた」「あってはならない(ずさんな)業務が行われていたのであれば、徹底的に追及させていただくと申し上げた」と反論した>
2000年に建築法が改正され、2001年から強度の検査業務を民間に委託している。しかし、これはあくまでも「委託」であり、これによって国の責任が消滅するわけではない。この問題について、掲示板に渚のバラードさんが投稿して下さったので、引用させていただこう。
<国交委員会での参考人質疑を報道ステイションで見ていたら、ヒューザー小嶋社長の醜態に直面しました。あの人相といい、破廉恥な言動は最低の品性を物語って余りあるものでした。丸でヤクザです。不規則発言を注意されていましたが、国会のあの場でイーホームズの社長を恫喝するのですから、密室でだったら罵詈雑言など序の口でしょうね。
「自己責任」という言葉を巡って、当BBSでは色々議論が盛り上がりますが、今回に限ってはマンションの住人に対し「自己責任」を持ち出すのは間違いだと思います。公的に設計審査で承認され、合法的に建設されたマンションですから、割安な価格に魅力を感じて購入した人達には、何等落ち度はない筈です。
民間に審査を委託したとしても、最終的には国土交通省の権限において建設が認められた以上、国が最終的な責任を負う義務があります。勿論、本日の参考人全員と所属企業・団体が一次的責任を負うべきですが、国は「責任がない」とは言えない筈です。さもなければ、誰も国を信頼出来なくなりますから。>
木村建設は従業員を全員解雇し、倒産することになるらしい。しかし会社が倒産したからといって、責任が消滅するわけではない。倒産が安易な資産隠しや責任逃れの隠れ蓑にされては消費者は浮かばれない。
当然、国土交通省にも責任がある。最終的には何ほどかの公的資金が注入されることになるのだろうが、役所の尻拭いを国民がさせられていてはたまらない。「民営化」というのは、なんでも民間にまかせることではない。政府は国民生活の安全性に対する公的責任を自覚すべきだ。
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