橋本裕の日記
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2005年11月17日(木) 困った人

 毎朝NHKの朝のドラマ「風のハルカ」を楽しみに見ている。そしてこれを見終わってから散歩に出かける。そのころは太陽もかなり高くなり、日向ぼっこをしながらの散歩が楽しめる。

 散歩は昔から大好きだった。歩いていると気分が爽快になる。裏町を歩くのも好きだが、町外れや田舎道を歩くのもいい。最近は運動をかねて早足で歩いている。歩いているうちに汗ばんでいる。

 途中、木曽川の堤を歩いているが、数ケ月前から大工事が始まり、来年の3月まで通行止めになっている。しかし、このコースが一番の気に入だから外すわけにはいかない。

 もっとも、私が歩いていても、工事現場で働いている人はだれも注意しない。むしろ「おはようございます」と声を掛けてくれたりする。私も「おはようございます」と返す。しかし、昨日、ヘルメットをかぶった男から声を掛けられた。

「通行止めになっています。迂回路の方を通ってください」
「私の毎日の散歩道です。通らせていただきます」
「工事の車が通るのであぶないですよ」
「気をつけます」
「今日だけですよ」
「明日も通らせていただきます」

 相手は「困ったな」というふうに苦笑いをしていた。私も答えながら苦笑してしまった。通行禁止だと看板が出ていて、バリケードまでしてあるのに、自分の散歩道だからと押し通るのは、あきらかに私がわるい。これが逆の立場だったら、私も役目がら注意しただろう。こんな訳の分からない口を利かれたら、腹が立つかも知れない。

 男を残して大股で歩きながら、私は今さらのようにあたりの風景を眺めた。大がかりな道路拡張工事のため、堤防にあった多くの桜の木が倒された。そのうち河川敷の自然林も切り倒され、きれいに整備されるのだろう。すっかり野趣がなくなり、面白みがなくなる。鳥たちも楽園を失って困るに違いない。

 そして、私の散歩道もきれいに二車線に舗装され、堤防道路として大型のトラックが疾駆することだろう。工事が終わったら終わったで、私は永遠にこの魅力的な散歩道を失うことになるのかもしれない。そう思うと、一日でも長くこの散歩道をたのしみたいと思う。そういう思いが、私に自分でも苦笑するような理不尽な態度をとらせたのだろう。

(次のサイトで私の朝の散歩コースの写真を見ることができます)
「秋の散歩道」
http://hasimotohp.hp.infoseek.co.jp/top2.htm


橋本裕 |MAILHomePage

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