橋本裕の日記
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私はわりと太る体質なので、昔から「腹八分目」を心がけているが、それでも油断すると太る。ところが世間には「やせの大食い」と言って、食べても食べても太らない人もいる。これはどうしたことだろうか。
おいしいものをたくさん食べても太らない人をみると、なんだかうらやましくなるが、もう少し太りたいと思っている人にすれば、そうした自分の体質に不満があるのかも知れない。それにこうした人たちはたくさん食べなければならないので、食費もかさむだろう。
私のように比較的小食でも腹も減らず、元気に活動していられるのは、おそらく腸の栄養吸収力がいいのだろう。私たちの腸の中には数百種類に及ぶ100兆もの腸内細菌がいる。その重さはじつに1.0〜1.5キログラムにもなるという。
実はこれらの腸内の微生物が、消化酵素と協力して私たちの食べた物を分解し、栄養として吸収しやすいかたちにしてくれている。ただ分解するだけではなく、あらたな栄養源をつくりだしてもいる。
牛などの草食動物の場合は、消化器の一部がふくらんで(ルーメニという)、そこに多数の微生物が繁殖し、食物を分解するだけではなく、自らが蛋白源となって草食動物の栄養になっている。だから牛たちは自らの体内でこれらの微生物を飼っているかぎり、タンパク質を摂らなくてもよいわけだ。
人間の場合はこうした能力は衰えているが、それでも人間の腸にもこれと似た細菌が棲んでいるという。生野菜しか食べない人が長期間健康な生活を維持していられるのも、こうした腸内細菌が活発な活動をして栄養をつくり、また吸収を助けているからだと考えられる。
ところが、こうした健康な人でも食べすぎると、腸の中で食物が腐敗し、悪い細菌が繁殖して、善玉の細菌が死滅するのだという。そうすると栄養の吸収が悪くなり、「やせの大食い」ということになりかねない。
また腐敗によって体に悪い物質がつくりだされ、これが腸から吸収されると、体内の血液が濁り、健康そのものが阻害される。気管支喘息やアトピーなどのアレルギー症状もそうだし、リューマチや悪性のガンにもなりやすくなる。
腸内環境をよくたもつことが、健康の秘訣だとすれば、過食は慎まなければならない。私たち先進国に住んでいる人たちが「腹八分目」を心がけることで、世界の食糧事情もよくなるし、それ以上に、私たち自身が健康でしあわせな人生をエンジョイできる。「小食に病なし」という格言を大切にしたい。
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