橋本裕の日記
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フイリピン教師のなかでも、ジェニーはピカ一のキュートな先生だった。CPILSではガイダンス・ティーチャーがつくのだが、私のG・Tになったジェニリンがジェニーの教室に案内しながら、「shinはラッキーだね。ジェニーはとても可愛いいよ」と言ったがそのとおりだった。
ただジェニーにも欠点があった。朝に弱いことである。私の授業は1限目だったので、彼女は遅刻を繰り返した。ひどいときにはまるごと1時間40分、現れなかった。もちろん、そうしたときは別の先生が現れて代わりに授業をしてくれた。
これはこれでいろいろな先生に知り合えて悪くはなかったが、それにしても少し教師としての自覚に欠けるのではないだろうか。最初は、「ごめんなさい。渋滞がひどくて・・・」と可愛い顔で弁解する彼女に「no problem」と鷹揚に応じていた私だが、度重なるとそうも言っていられなくなった。
30分近く遅刻してきた彼女に、私はとうとう少し怖い顔をして、「I don't forgive you. You must be punished. I'll give you a punishment.」と宣言した。彼女は困ったように私を見つめ、少し顔をこわばらせた。
「これから罰を与えるから、眼を閉じて」と言っても、じっと私の顔を見つめているので、もう一度「close your eyes」と促すと、彼女はおずおずと眼を閉じた。私は彼女の額に指を近づけ、爪先でパチンと弾いた。「痛い」と言ってジェニーが目を開いた。
「これから遅刻したら、これをするからね」というと、「shinも遅刻したらだめだよ。私もお仕置きをするから」とジェニーは笑いながら言った。
明くる日は、珍しく私より早くジェニーが来ていた。二階の教室に登ろうとすると、ジェニーが階段の手すりから身を乗り出して私を待ちかまえていた。「Good morning. shin」と手をふるジェニーをみて、可愛いなと思った。
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