橋本裕の日記
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2005年09月28日(水) 悪徳ドライバー

 セブのタクシーには気を付けなさい、という忠告を何度か訊いた。とくに女性が一人で夜遅く乗るときはよほど注意しなければならない。私がこのことを思い知らされたのは、ゆみの体験談を聞いたときだった。

 学校からホテルへ帰るときは、スクールバスが出ている。私はいつもこれを利用したが、夜の7時を過ぎると運行間隔がひろがる。ゆみは夕食後フィットネスクラブで運動していたので、私よりも帰りがおそくなる。

 その夜、ゆみは宿題を抱えていたので、スクールバスを利用せず、学校からホテルまでタクシーを使ったのだという。ところがなかなかホテルにつかない。メーターをみるとすでに90ペソを超えている。

 ドライバーは比較的若いフィリピン男性で、しきりに英語でゆみに話しかけてくる。最初はゆみも相手をしていた。自分が日本人であることや、英語の勉強をしにきていることなど、むしろ運転手の友好的な雰囲気にほっとしていた。しかし、そのうちに会話の内容が変わってきた。

「君はきれいだね。とても魅力的だよ。セブにいるあいだでいいから僕とつき合ってくれないかな」
「いつも何時にホテルをでるの。僕が毎日迎えに行くよ。これからは僕が送り迎えして上げるから」

 ゆみはだんだんこわくなってきて、「ここで降ろして下さい」と言った。そうすると男は手を伸ばしてきて、後部座席のドアをロックしてしまったのだという。これでゆみの恐怖心はさらに高まった。

「あぶないからね、ロックしたんだ。大丈夫、もうすぐ付くから。渋滞を避けるためにちょっと回り道しただけだよ。それに100ペソ以上は要求しないからね」

 しばらくして、タクシーはホテルに着き、ゆみは悪夢から解放された。「でも、ホテルに迎えにこられたらどうしよう」と、不安な様子だった。ゆみを守ってやりたかったが、その後私はセブを離れてしまった。ゆみの無事を祈るしかない。


橋本裕 |MAILHomePage

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