橋本裕の日記
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セブには電車がないし、地下鉄もない。移動の主な手段としては、タクシーかバス、ジプニー、トライシクルということになる。私はこの4つとも体験した。
ジプニーというのは、小型バスで後ろに常時開いたままの昇降口がある。車体に書かれた番号によって行き先がわかり、手を上げれば止まってくれる。降りるときは運転手に声を掛けるか、天井を叩けば、これもまたどこでも止まってくれる。
料金は5ペソ(10円)か6ペソ(12円)である。遠距離になれば追加料金を払わなければならないが、とにかく安くてたくさん走っているので、これがセブ市民の欠かせない移動手段になっている。
トライシクルというのは、バイクの横にサイドカーをつけたもので、ジプニーが簡易バスであれば、これは小回りの利く簡易タクシーといった感じで、私もモアル・バウルでこれを利用した。バイクのかわりに自転車が付いているものもある。地方に行くとこれらが身近な庶民の足になっている。
さて、観光客が一番利用するのがタクシーだが、これは30ペソ(60円)が基本料金で、あとはメーターで高くなる。ジプニーの5倍から10倍の高さだと思えばよい。もっとも中には悪徳なドライバーもいて、メーターを無視して、規定外の料金を要求する者もいる。
いつか、ゆみと二人でホテルに帰るとき乗ったとき、運転手が何か言ったがよくききとれない。「English, please 」と言うと、ゆみが小声で、「英語みたいだよ」と言った。英語が話せないドライバーはいないようだが、訛がひどくてききとれないことが多い。
とくにこのときのドライバーの英語は私にはまったく聞き取れなかった。おそらく渋滞があるので回り道をするとでも言ったのだろう。SNマートからホテルまでの距離がいつもより長くて、メーターの料金も90ペソ(180円)近くになっている。
やっとホテルについて、100ペソはらうと、運転手は首を振り、「one hundred and twenty」という。これは聞き取れたが、メーターは95ペソをさしていて、これでも通常よりかなり高いのに、その上に20ペソ以上も上乗せして要求している。
高いと言っても数十円である。しかし、フィリピンでは数十ペソはかなりのお金である。私たちの金銭感覚もペソに近くなっている上に、「理不尽なお金は払いたくない」「騙されたくない」という心理がはたらいた。
腹が立ったが、らちが明きそうもないので払おうとすると、ゆみが私に「メーターのお金を渡して、さっさと降りましょう」と言った。私は「I pay just for meter」と言って、運転手に100ペソを押しつけそのまま降りたが、金を受け取ったドライバーはむっとしていた。
このときはこれですんだが、このあとゆみは一人でタクシーに乗って、もっと怖い体験をすることになる。これについてはあしたの日記に書いていよう。
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