橋本裕の日記
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5/16日に国税庁が発表した2004年度の高額納税者の全国一は約36億9000万円を納税した東京都内の外資系投資顧問会社部長の清原達郎さん(46)だった。
清原さんは、担当するファンドの運用が好調で、成功報酬など推計所得は約100億円だという。2位は宇都宮市の前消費者金融会社会長斎藤成さん(60)で、所得の大半は大手アイフルへの株譲渡益だったそうだ。
もっとも、これらの人のほかに、もっと高額の所得を得ている人がたくさんいるはずだ。当時の週刊誌の記事には、他の株取引仲間は、清原さんが所得隠をしないであまりに正直なのに驚いていると書かれていた。西武グループの堤会長のように法人をつくったりして税金のがれをする人もいるのだろう。
私は教師をしているが、同人誌に小説を書いたり、いろいろなサークルや学習会に顔を出していたので、これまでにいろいろな人とつきあってきた。会社を経営している人も何人かいたが、税金を納めているという話はあまりきかなかった。
貿易商社のオーナーだというAさんなど、毎年多くの利益を出し、海外生活をたのしみながら、「私は今まで税金を納めたことがありません」というのが自慢だった。彼の場合は日本政府のお金の使い方が気にくわないのであえて税金をおさめないということだ。Aさんは英語もフランス語も自由自在という国際派で、人生の達人という風貌だったが、税金を納めない話にはちょっと違和感を持った。
人は働いて収入を得たら、やはり税金をはらうべきだろう。なぜかと言えば、人は一人で生きているわけではなく、この社会に生活するに当たって、様々な公共サービスを受けているからだ。そして国民として法律の保護のもとに置かれ、さまざまな権利が保障される。したがって、その分、納税の義務が生じる。
事情は法人の場合も同じである。法律的にいうと法人とは特殊な「人」だ。人間ではないのだが、特別に法律のよって「人権」が与えられている。つまり企業は営業活動を行うに当たり、「法人」としてさまざまな保護を与えられている。社会的に教育された社員を雇用し、すでに整備された基本インフラを使って利潤を上げている以上、個人とどうように税を負担するのは当然ではないだろうか。
個人の収入(所得)というのは、自分の労働力の売り上げなわけだ。もちろんこの売り上げのはコストがかかっている。売り上げからどんどんコスト(生活費)を引いていけば、利益がなくなる場合もある。統計によれば250万の年収の世帯の個人消費は250万円である。
個人の場合も所得控除の制度はあるが、原則的に、税金は所得にかかる。黒字幅(利益=収入−生活費)にかかるわけではない。同じ論理を法人にあてはめれば、法人税は本来は利益にではなく売り上げにかかるものではないか。
もちろんこの場合、30パーセントは高すぎる。1パーセントでも充分だろう。Aさんには悪いが、こうすれはもっと多くの法人から税を公平に徴収できる。そうすれば企業の利益率もあがり、企業自身も健全化するのではないだろうか。
さて、国税庁の発表した高額納税者の上位100人のうち、半数は株の譲渡による高所得だという。なお、10億円以上の所得税を納めた「大長者」は前年の2人から6人に、3億円以上も85人から107人に増えたそうだ。国民の総所得は減少しているから、上位が多くなったと言いうことは、低所得者がふえたということだろう。ここからも所得格差が広がっていることがわかる。
そうした中で、自民党は財政の健全化を理由に、サラリーマン増税を打ち出した。政府税制調査会の石会長は「サラリーマンは就業者の8割、4千万人の納税者がいる。頑張ってもらうしかない」というが、取りやすいところから取るというのでは、ますます格差が広がっていく。すでに日本の貧困率はアメリカ以上だという数字がある。
若者雑誌「CIRCUS(サーカス)」(KKベストセラーズ社)最新号に、副島隆彦が「日本はすでに階級社会だ」と書いている。セルジオさんが掲示板で紹介してくれた文章を孫引きしておこう。
<いいか、日本には支配階級(天皇、旧華族、大資産家、政治家の上位層、大企業の創業者一族)が50万人ぐらいいて、その下に約500万人の中小企業経営者と上層自営業者(医者、弁護士など)がいる。これが上層国民で、日本の中心部分にして自民党の支持層だな。
その下が年収1000万円以上の上層サラリーマンで200〜300万人いる。彼らは、資産はないが自分の力で闘える連中だ。私の本を買って読むのはこのクラスの連中までだな。
その下には5000万人の一般サラリーマンがいて、こいつらはテレビでバカな学者や評論家が言うことを丸々信じ込んでいる連中。本百姓(ほんびゃくしょう)だな。騙されているだけなのに自分では内心、頭がいいと思い込んでるアホたちだ。
さらにその下には5000万人の奴隷階級がいる。こいつらはサッカーと野球しか見ない水呑み百姓だ。だから、日本という国はな、テレビや新聞に騙されないでしっかり勝ち組を続けている上層国民プラス上層サラリーマンと、それ以外の大多数の負け組みの人間ででき上がっているんだよ。>
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