橋本裕の日記
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| 2005年08月21日(日) |
法人税を払わない企業 |
現在の法人税の基本税率は利益の30%になっている。これは国税の基本税率の水準としてはイギリスと並んで主要先進国の中でも最低の水準だ。それでも利益の30%払うのだから、企業はかなり社会貢献していると言えるのではないか。
ところが日本に250万以上ある会社のなかで、実際に法人税を支払っているのはわずかに1/3だけだという。たとえば世界一の資産を持つといわれた西武グループもほとんど法人税を払っていなかった。ソニーなど世界に名を知られた多くの大企業が税金対策をして法人税を払わずにすましていた。 政府の出した「平成14年分法人企業の実態」を見てみると、法人全体の営業収入(売上高相当)は1,438兆円だ。ところが法人税の総収入は9兆5千万円しかない。じつに0.66パーセントだ。5パーセントの消費税にくらべると、1/7でしかない。
これは法人税が売り上げとは関係なく、利益にかかるからだ。だから企業としてはさまざまな支出をこしらえて、利益控除を拡大し、利益を少なくする。実のところ、平成14年度の日本企業の総利益はたった32兆円しかない。
たしかに統計の数字の上では、9.5/32=29.7パーセントである。30パーセントの法人税というのも、実態はこうしたものだということを認識しておく必要がある。
これは日本の場合だが、アメリカではどうだろう。実態はほとんど日本と変わらないようだ。東洋経済新報社「週刊東洋経済」 2004年4月24日号の「田中直毅の日本経済の明日第30回」より抜粋しておこう。
<03年は法人税収は連邦政府の税収のわずか7.4%にまで低下した。83年以来の低比率である。1318億ドルという水準も10年前にまで戻るほど低調なものだ。企業の租税回避行動の広がりという指摘が相次ぐことになる。・・・
今回の報告書では、まず概観ということで外国系企業と米国系のそれとを分けた。外国系企業の71%、米国系企業の61%が法人税を支払っていないことがわかった。
ちなみに02年の日本の法人およそ255万社のうち、欠損企業は68.9%となっている。92年は53.1%の欠損企業比率だったが、94年以後は60%を超える企業が欠損となっている。これだけを見ると日米間で大した差があるとは思われない。
米国の報告書では、資産2.5億ドル、あるいは売上高で5000万ドルという基準をつくり、どちらかでこれを上回る企業を大企業として分類したうえで、外国系大企業と米国系のそれとを比較している。収入の5%以下の法人所得しか申告していないのは2000年のデータによれば外国系で76%、米国系82%である。大企業については米国系の方に租税回避行動が根づいている可能性も考えられる結果だった。>
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