橋本裕の日記
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| 2005年06月12日(日) |
スタンド・バイ・ユー |
先日、私の勤務する定時制夜間高校でPTA総会があった。総会の後、教員と保護者が本音で自由に話し合う会が2会場に別れて持たれた。これを「フリートーキング」というが、これは十数年前にこの学校に勤務していたころはなかった。PTAの要望で、最近始まったのだという。
2会場うちの一つを、P会長のTさんと私が共同で司会をすることになった。フリートーキングだが、話がしやすいようにいちおう「子育てについて」ということで、子育ての苦労や、その知恵をみんなで出し合おうということではじまった。
共同で司会したP会長のTさんは小柄な女性だったが、8人の子供を自分で産んだのだという。現在も一番下は1歳半の幼児がいるという。少子化が進んでいる日本で、こんなにたくましい女性もいるのかと、先ずは驚き、脱帽した。
トーキングは盛り上がった。そして、出席した多くの母親が、子供が中学時代にいじめにあい、不登校になったと話していた。自閉症気味だった子が、定時制に通うようになって、人が変わったように明るくなった。「今日はこのことのお礼をいうために来ました」という3年生の母親もいた。
しかし、一年生の3,4人の母親からは、高校生になってもクラスに馴染めず、今もつらい思い出で学校に来ているという声も聞かれた。誰にも相談できずに悩んでいたが、フリートーキングの場でその悩みを打ち明け、すこし気持が軽くなったようだった。
その場には担任の先生や、クラスでその子たちを教えている教科担当の先生もいたので、クラスの状況や子供たちの様子も報告できた。こうして親と教師が情報を共有しあい、気持を通い合わせることはとてもよいことだ。
それにしても、悩みを抱えながら、深刻なことも笑顔で話し合う母親たちの何とたくましいことだろう。司会をしながらまず思ったのはその明るさとパワーだった。とくに隣りのP会長のTさんの人柄は抜群で、場の雰囲気を温かく和らげてくれた。
最後に、私も自分の育ての体験を話した。次女が中学生の頃、やはりいじめにあったことがあった。髪の毛がちりじりになり、朝食を食べながら涙を流していたときもあった。しかし、そうした試練を乗り越えて、次女は今元気に大学生をしている。馬術部の部長をつとめ、毎朝5時に「いってきます」と明るく声を出して家を出る姿に、もはや昔の暗い影はない。
娘のいじめにたいして、とくに私たち親がなにかをした訳ではない。しかし、いつも身近にいて、その痛みを共有し、たとえ口にださなくても、「大丈夫、お父さんやお母さんがついているからね」と温かく見守り続けることはできる。
子供たちに一番必要なものは、家族や教師の、身近で温かいサポートである。そうしたなかで、傷ついた子供たちも本来もっている「生きる力」を復活させることができる。子供たちはみんなそうしたたくましい生命力を持っている。私たちに必要なのは、「スタンド・バイ・ユー」の心だろう。2時間あまり続いたフリートーキングの最後を、このように締めくくってみた。
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