橋本裕の日記
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少し前まで、朝の散歩で近所のS老人と一緒になった。S老人は将校として中国大陸で戦ったという。南京にもたびたびいったそうだ。彼によると、南京虐殺は中国のでっちあげだという。
80歳を超えているはずだが、軍隊で鍛えたと言うだけあって、足腰がしっかりしている。それに「文芸春秋」の論文も読んでいて、なかなかのインテリで、論も立つ。あの戦争は「正しかった」「首相の靖国参拝は当然」という立場である。
私はこのご老人に反駁はしない。ただ、適当に質問して、あとは聞き役に回る。そうすると、歩きながら30分でも40分でも戦争の体験談を話してくれる。
私「軍隊でいじめはなかったのですか?」 老人「わしの部隊でもいじめられて自殺したやつはいたよ。鉄砲で頭をぶち抜いたんだ。情けないね」
私「中国の女性はどうでしたか?」 老人「中国の女性は○○○でね、なかなかよかったよ」
部隊には性病が蔓延していたという。それでもやりたくてしようがないのが兵隊だ。老人もそれがたのしみで通ったそうだが、コンドームをしっかりしたので大丈夫だった。おかげで性病にもならず、お国のためにしっかり働けたという。
一口に戦争体験と言っても、いろいろある。私の父は一兵卒として中国大陸で戦い、敗戦で命がけで逃げ帰ってきた。戦地から帰って警察官になり、大の共産党嫌いだったが、「戦争はばかばかしい」というのが口癖で、「国に騙された。もう騙されたくない」とも言っていた。
ロマン・ロランの「魅せられたる魂」という小説に、「人生は上から眺めるのと下から眺めるのとでは、まったく違っている」という主人公の言葉があった。馬上からサーベルをつけて意気揚々と命令していた人と、虫けらのように泥の中を這い回ってあがいていた兵隊では、戦争の見方が違っていて当然だろう。
最近、散歩の時間を大幅にずらした。この老人とも顔を会わさなくなったが、おかげで、朝の散歩がとてもすがすがしい。田んぼにはイソシギの親子がいて、私を迎えてくれる。この平和をたいせつにしたいものだ。
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