橋本裕の日記
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2005年04月18日(月) 醜い相続争い

 同僚で友人のAさんは、私の「土地を盗られた話」を聞き、「子孫の為に美田を残さず」という言葉を聞くと、「それはその通りかも知れない」とうなずいた。そして、彼自身の体験を語ってくれた。

 彼は幼いころに父を亡くしている。財産家なので金銭的には不自由はしなかった。それに母は元気だったし、年の離れた姉や兄がいた。彼の兄はとくに優秀で、東京大学を出て、偉い学者になり、NHKのテレビ講座も担当していたことがあるのだという。

 母が死んで、末子のAさんが家を相続することになった。兄さんは東京に住んでいて、なかなか実家に帰ってこないので、Aさんが相続の手続きをまかされたのだという。母の遺言にしたがって、それぞれに財産を分けた。もちろん家を相続し、先祖を祭ることになったAさんが多くを相続することになった。

 ところがこれに対する不満が親戚から一斉に起こった。とくに兄さんは学者にも似合わず、夜中にも「財産をよこせ」と、怒りの電話を寄越してきた。Aさんを驚かせたのは、兄さんの妻までが電話口に出て、Aさんを口汚く罵ったことだという。この人も学者で、ある有名大学の学部長をしているが、知性などかけらもなく、1時間以上も電話口で怒り続けたのだという。

 Aさんは偉い大学教授の二人から「訴えてやる」と言われて、おどろいて財産を処分し、いわれただけの額を送ったが、このことがきっかけになって、これまで仰ぎ見ていた兄夫婦に対する尊敬をすっかりなくしたという。そして、「人間なんて、いくら学問を積んでもだめだ。欲の深さを上品に包んでいるだけだ」と思ったのだという。

 そして、Aさん自身、何か起こると「訴えてやろう」と考えるようになった。隣家との土地争いもそうだが、他にも財産相続で係争中の事件があるのだという。Aさんは「本当に頭に来た」といいながら、その事件について語り始めた。私はこれも社会勉強だと思って、Aさんの話に耳を傾けた。


橋本裕 |MAILHomePage

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