橋本裕の日記
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2005年04月16日(土) 複雑な土地の相続

倉がなくなり、敷地の木も切られて更地になった土地を、Yさんは駐車場として自由に使っていたが、私たちは何とも思っていなかった。しかし、そこにいつのまにか北陸電力のプレハブが建てられていると聞いて驚いた。

「Yさんが勝手に北陸電力に貸したようなの。でも地主の私たちに挨拶ないのはおかしいわね。Yさんは北陸電力から月々お金も貰っているようなのよ」

 母から電話があって、私はこれは座視できないと思った。さっそく日曜日に福井に帰り、弟と母を伴って、田舎のYさんの家を訪れた。あいにくYさんは不在だったが、Yさんの奥さんや娘さんがいたので、「勝手に土地を又貸ししては困る」と苦情を述べた。

 その夜、田舎からYさんがやってきて、私たちの前で神妙に頭を下げた。北陸電力からもらった金は空き地の管理のために使ったが、地主に断りもなく貸したのはまちがいなので、全額返してくれるということだった。

 数日後、北陸電力の人がきて、同じように頭を下げた。管理人のYさんから当然地主に話が通っていると思ったのだという。それに、Yさんからは正式の地主がはっきりしない土地だとも言われていたらしい。

 私は不審に思った。祖父が死んで、三男の父が財産を正式に相続したと思っていたからだ。父が死んで、今度は弟が相続し、税金を払ったものだと思っていたが、相続については書類がややこしく、あまり進んでいないのだという。

「とにかく、屋敷の土地も半分は死んだお祖父ちゃんの名前になっているのよ。山林も名義の書き換えができていないところがたくさんあるの。とにかく飛び地がいっぱいあって、わけがわからないわね」

 祖父が死んだとき、長男一家はブラジルにいた。長男は三男の父に財産を相続して欲しいと手紙に書いて寄越した。それと引き替えに、木を切って数百万円を送るように指示してきたらしい。父はその手紙を親戚に見せて、了解をとりつけたのだという。

「相続するにしても、兄弟が6人もいると、ひとりずつ印鑑をもらったりして、大変なのよ。それにそのあとすぐにブラジルのお義兄さんがなくなったでしょう。そうすると、今度は、その奥さんや息子さんたちと交渉しなくてはならなくなって、お父さんも、途中であきらめちゃったのね」

 母の話を聞きながら、これは容易なことではないと思った。土地の大半が祖父の名義だとすると、「本家の財産なんてみんな巻き上げてやる」という人づてに聞いた伯父の言葉も、笑ってすませられなくなる。Yさんの様子からしても、これは何か起こりそうだなと思った。


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