橋本裕の日記
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2005年03月09日(水) 田舎の水上市場

 今日は8時過ぎにホテルを出て、バンコクから南西の方向にある田舎の水郷地帯を目差した。田んぼや塩田の広がる田園を2時間近く走ると、椰子の茂る南国的な風景になる。やがて村の船着き場に到着。ここから車を船に乗り換えて、30分ほど運河のクルージングをたのしみながら、ダムヌン・サドアクの水上マーケットへ。

 一家4人とガイドさんを乗せたカヌーのような細長い舟はエンジン音を響かせて、迷路のような水路をかなりの速さで水しぶきを上げながら走る。両側は椰子やバナナの木が茂っていて、いかにも熱帯にきたという気分だ。ほとりに民家が点在しており、その船着き場をかすめるように舟が走る。

 この辺りの家はいずれもボートをもち、水路として使っているようだ。犬までゆったりとしている素朴な暮らしぶりが何やらうらやましい。庭先に素焼きの大きな瓶が並んでいるのは、雨水を飲料水として貯えておくためだという。食器洗いや洗濯は水路でするようだ。

 汚物なども水路に流すようだが、それでも植物が茂り、魚が棲むことで、人が暮らせる程度に川は浄化されるのだろう。日本ではほとんど姿を消したカバタ(川端)の暮らしが身近に眺められて、牧歌的な様子に興味が尽きなかった。

 川沿いには椰子の他にも、バナナやマンゴウなどの果実がたわわに実っていた。食物が豊かで、主食の米も年3回も実る。気候も温暖なので裸で暮らせる。田舎に住んでいれば、衣食住にほとんどお金はかからない。タイの国は基本的に自給自足が可能なわけだ。

 田舎に来ると、タイは「椰子の国」だという印象を強く受ける。椰子の実からミルクを作り、さらに砂糖や油を作る。途中の農家で一服し、椰子の油で揚げたバナナを食べたが、素朴な甘みが口の中に広がり、フライドポテトよりもおいしかった。その農家の庭先にある椰子の木に梯子が掛けてあり、娘達がそこに登って写真を撮り合っていた。

 ガイドさんの話によると、タイの平均寿命は少しずつ短くなっているのだという。たしかにバンコクではほとんど老人を見かけなかった。しかし、田舎には家々に老人の姿があった。田舎の人は長生きだが、都会の人の平均寿命は短くなる傾向にあるらしい。食生活の変化や都会生活のストレスのせいだろう。

 水上市場に着いたのは10半ごろだった。物売りの人たちの舟に観光の舟が入り乱れて賑わっていた。私たちはさっそくドリアンやマンゴスティンなどの新鮮な果物を買い込み、船着き場の近くのテーブルに腰を下ろして食べた。これはとてももおいしかった。

 水上マーケットに隣接して土産物屋がならんでいた。娘達が買い物をしている間、私と妻はそこのテーブルに腰を下ろし、水上マーケットの活気ある様子を眼下に眺めた。市場で果物などを売っているのは大半が女性だ。タイの女性は働き者なのかもしれない。舟の上げる水音と人々の声に耳を傾けながら、椰子の茂る風景を眺めていると、はるばると異境の地にきたという実感がした。

 11時半ごろ水上市場をあとにして、車でサン・プラーンの象園に向かった。40分ほど到着し、まずは食堂で腹ごしらえをした。ここは中国風のバイキング料理店だった。ゲンチュード・サラーイという豆腐や豚の挽肉、海苔の入った中華風のスープを飲んだ。

 それから、タイ風中華そばを食べた。麺は細いものから太めまで3種類あって、味付けはしょうゆ味など選べる。とくに味付けしなくても飲めますと言われたので、そのままのスープで食べたがちょうどよかった。果物は水上市場で食べたので食指がうごかなかった。

 腹ごしらえが終わったところで、象のショーを楽しんだ。象が音楽に合わせてダンスを踊り、逆立ちしたり、可愛いしぐさでおすわりをしたりする。昔の戦争を再現した象の武闘ショーも迫力があった。

 面白かったのは大小8頭ほどの象が胴体に日本やフランスなどの国旗入りのゼッケンを付けて勢揃いし、サッカーボールをゴール蹴ったりする出し物だった。象のなかにはボールを蹴りそこねてゴールの中に突進し、ゴールキーパーを押し倒したりするのがいた。

 キーパー兼審判の男は笛を吹き、怒ってイエローカードをつきつける。ところがフランスのゼッケンをつけた象がこれを繰り返し、とうとう頭に来たキーパーがレッドカード。しかし、象も納得せず、キーパーに足蹴をくらわせ、キーパーが転倒。起きあがったキーパーに、さらなる足払い。こうしたコメディーに場内は笑いの渦に包まれた。

 象のショーをみてから隣でワニのショーも見学した。そのあと、象園に行って象たちにバナナをやった。子象にやろうとすると、母象が長い鼻を伸ばして奪っていく。母象のすきをついて、なんとか子象にバナナをやることができた。娘達はそうして象にバナナをやりながら写真を撮り合っていた。

 バンコクに引き返し、妻の希望で黄金仏のある寺院をひとつ見学した。そこでタイの仏教についてガイドさんからいろいろ聞いた。その寺院には小・中・高と一貫教育の学校を経営していた、運動場で遊んでいる小学生らしい生徒の姿があった。ちなみにタイでは公立学校は大学まで制服だという。校則はかなり厳しいらしい。たしかに日本のような茶髪や化粧をした学生はひとりも見かけなかった。

 寺院を出て、夕食までまだ少し時間があったので、表通りを家族で散策し、マクドナルドに入った。アイスコーヒーが100円ほどで飲めた。ペットボトルの水が10バーツ、30円である。物価は日本の1/4くらいだろう。ものによってはもっと安い。

 ちなみに3日目はすべてオプションである。水上市場のクルーズや象園での昼食やショーの代金、そしてこのあとの夕食の「タイしゃぶ」も入れて、一人あたり5000円である。ガイドと運転手が付き添いだから、これもタイならではの安さである。

 ところで、この日記をいまマクドナルドで書いている。現在時間、6時ちょうどである。妻と二人の娘は、30分ほど前に店を出て、近くのデパートに買い物に行った。そろそろ私もこの店を出ようと思う。夕食のあと、オカマショーを見る。そしてタイともお別れである。続きは明日、日本で書くことにしよう。


橋本裕 |MAILHomePage

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