橋本裕の日記
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2005年02月26日(土) シミュレーションする脳

 ある行為をしたとき、それによって引き起こされる結果をあらかじめいろいろと考えることを「シミュレーション」という。これは人類が生存率をあげるために進化させた知的能力である。私たちは日常の生活でも、この能力をさまざまに活用している。

 たとえば将棋に「三手の読み」という格言がある。将棋の対局では、自分がこう指したとき、相手がこう指すかもしれない。それに対して、自分はこう指す。しかし、初心者やヘボの将棋好きはこの「三手の読み」ができないので、たいてい負けてしまう。

 有段者になると、三手どころか五手、七手と先を読む。プロになると、数十手、数百手先まで読む。だから将棋盤の前で、1時間でも2時間でも腕を組んで沈思黙考するわけだ。読みの正確な人ほど勝率が高くなる。

 将棋ばかりではなく、日常生活でも「三手の読み」は大切である。自分の感情の赴くままに行き当たりばったりで行動していては万事うまくいくはずがない。自分の行動の引き起こす結果をいろいろと想定して、それぞれの場合に応じて、次にどのような行動をするか、冷静にシミュレーションできるかどうかで、そのひとの人生模様はずいぶんと違ってくる。

 また、シミュレーションする能力は、個人生活だけではなく、会社を経営したり、国の将来を考えて政策を決める場合にも大切である。経営者や政治家がこの能力を欠いていたら、そうした組織はたちまち運営が行き詰まるだろう。

 個人でも社会でも、正確な情報に基づき、客観的な視点に立って冷静に将来をシミュレーションすることができなければならない。そのために必要なのは、過去の体験や歴史から多く学ぶことだろう。

 さらに忘れてならないことがある。それは「何のためのシミュレーションか」というその目的である。私たちはよりよき未来を創造するために、過去から多くのことを学び、この能力を大いに活用して、今為すべきことを為す必要がある。


橋本裕 |MAILHomePage

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