橋本裕の日記
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堤義明が刑務所の塀のなかに落ちそうにないのは、彼が政権党である自民党に大きな影響力を持っていたからだ。自民党の党大会は過去一貫して高輪プリンスホテルで開催されている。
彼に一番親しい政治家は森前首相だが、いうまでもなく彼が率いる「清和会」は小泉首相を擁して、いまや日の出の勢いである。小泉首相が食事をするのはきまってプリンスホテルだし、首相秘書官の飯島氏が定宿にしているのも赤坂プリンスホテルである。
堤義明は「清和会」のみならず、これと対抗関係にあり、長い間自民党を支配してきた最大派閥の「竹下派」とも蜜月関係にあった。田中、竹下など歴代の実力者と仲がよかったし、小渕元首相の国葬の際には彼が弔辞を読んでいる。
また、総会屋への利益供与事件で会長を辞職したことからもわかるように、堤は裏社会との関係も深かった。先代の堤康次郎は「政商」と呼ばれたが、おなじく「政商」と呼ばれた「国際興業」の小佐野賢治や右翼の児玉誉士夫とも関係があった。そして、こうした裏社会との取引がひきがねになって、会長職を辞職することになったわけだ。
新聞報道によると、西武鉄道は総会屋が株主総会で発言するのを控えてもらうため、01年1〜10月、総会屋が顧問を務める不動産会社2社に、神奈川県鎌倉市や横須賀市の宅地、山林を格安の約2億4000万円で売却し、1億円を超える実勢価格との差額を総会屋側に提供したのだという。この件で2004年8月、元専務ら10人が有罪判決を受けた。
また、東京国税局の税務調査によって、通常の土地取引に見せかけた総会屋への利益供与にからみ、西武鉄道自身が03年3月期までの3年間に約1億4000万円の所得隠しをいていたこともあきらかになった。
堤氏ひきいる西武グループがすべて悪いというわけではない。長野オリンピックや西武球団の活躍が、ある次期の日本を引っ張り、活気づかせたことは事実だし、堤氏の日本社会への貢献がまったくなかったわけではない。
また、ここに来て、西武グループをマスコミがたたき始めたのには、かってロッキード事件で田中角栄を追いつめたのと同じ様な構図があるのかもしれない。アメリカを中心とする国際金融資本にしてみれば、日本企業の弱体化を象徴する堤王国の瓦解は願ってもみないことだからだ。
しかし、たとえその背後にどんな勢力がいるにしても、日本企業の古い体質は改められなければならない。私たちに必要なことは、もっと健全な企業を育てることである。それは株主の利益を最優先するアメリカ型の企業である必要はない。これを機会に、人々を本当に幸せにする社会とは何か、そのために企業はどうあるべきか、原点に戻って考えてみてはどうだろうか。
私は戦後日本に導入された欧米流の自由と民主主義を評価している。しかし、人権意識もふくめて、これが日本社会にしっかり根付いたとはいえない。その原因は、戦後の日本が経済優先で走りすぎたからだ。
戦後を悪くした元凶の一つは、この拝金主義ではないか。それは「開発」の美名のもとにゆたかな自然を破壊し、日本の伝統を破壊し、騒々しいコマーシャルばかりが氾濫する低劣な文化をもたらした。バブルが崩壊し、「ダイエー神話」や「西武神話」が崩れたいまこそ、拝金主義そのものを見直す好機だと考える。
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