橋本裕の日記
DiaryINDEX|past|will
| 2005年01月27日(木) |
堤義明とオリンピック |
「オリンピックの汚れた貴族」(サイエンティスト社)というタイトルの本が、98年の長野オリンピックの直前に出版された。著者はBBCの調査担当記者を長く務め、ジャーナリストに与えられる数々の賞を受賞しているアンドリュー・ジェニングスである。
本の中で、ジェニングスは、「世界一の大富豪、オリンピックを競り落とす」という見出しで、商業主義に汚染され腐敗したIOCの現状を告発している。いうまでもなく、「世界一の大富豪」とは、招致時のJOC(日本オリンピック委員会)会長(現名誉会長)の堤義明である。
<1990年IOC委員が長野に乗り込んできた。彼らは堤の所有するホテルに泊まり動員された学生、企業の数千人の歓迎を受けた。この遠来の客は、温泉で寛ぎ、芸者遊びをし(日本人記者によると)数百万円もする絵をプレゼントされたという。企業が政治家にワイロを送る際の日本式”マネーロンダリング”というわけだ。
サマランチもバーミンガムの投票まであと1カ月と迫った1991年5月、90年についで再度来日した。堤に五輪勲章を授与してから、天皇家が使っていたお召し列車をチャーターして堤、長野県知事、長野市長らと長野へ向かった。
道中、サマランチは堤に、ローザンヌにあるオリンピック博物館の莫大な赤字の援助を求めたという。サマランチの要求は1300万ドルだったが、堤はこれを応諾して1000万ドルを西武グループが、他にも17の大企業に声をかけて1社あたり100万ドルの拠出を求めたとされている>
堤義明は長野オリンピックの為に数度来日したサマランチ氏のために、高輪プリンスホテルにロイヤルスイートルームを特別に作ったという。1991年にイギリス・バーミンガムで開かれたIOC総会では、日本の招致委員会はチェンバレン元首相の別荘を借り切って委員たちを接待した。堤義明は誇らしげに、「長野オリンピックはわれわれが買い取った」と言っていた。
長野オリンピック招致のために、どのくらいのお金が使われたのか。長野五輪の招致委員会の県、市の税金10億も含めた招致費用は25億円だそうだが、肝心の会計帳簿類は「紛失」してしまったのだという。公表された25億円でさえこのありさまだから、どれだけの闇の資金が使われているか見当がつかない。
さらに問題なのが、招致後のお金の使われかただろう。オリンピックのために、公金が湯水のように使われて新幹線や道路が造られた。たとえば長野市から志賀高原までの道路はオリンピック道路として整備された。問題はこれによって、誰が一番利益を得たかということだ。
じつは、長野オリンピックで最大の利益を得たのは堤義明だと言われている。志賀高原焼額山スキー場は堤氏が経営している。そして、そこには堤氏の別荘があり、もちろん西武系のプリンスホテルがある。堤にとって、長野オリンピックは利益誘導以外の何者でもなかった。
長野オリンピックは甚大な環境破壊をもたらし、国と地元の自治体に巨大な赤字をもたらしたが、そのなかで堤はひとりだけ名誉と巨利を得た。しかし、長野オリンピックの舞台裏をみれば、国の財産と自然を食い物にする堤の悪徳商法がどのようなものか一目瞭然となるだろう。
|