橋本裕の日記
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俳句や短歌に親しむようになって、やがて20年になる。自分で作って楽しんでいるが、他人の作品を鑑賞するのも楽しい。とくに知人の作品には愛着を覚える。
今日はeichanの作品を紹介しよう。去年1年間に「塔」という俳句雑誌に掲載されたもののなかから、私がとくに心を動かされた7首を選んでみた。
ユトリロが白で描きし風景を探し求めてモンパルナスを
ふと旅をしてみたくなりその夜の宿泊先をネットで探す
生きがいは自分でみつくるものであるライフセミナーいつしか眠る
言へるなら上司に向かひ叫びたし人生いいろいろ社員もいろいろ
おかあさんがおかあちゃんに変はってた死近き母に吾は叫びし
故郷の電話番号押してみる亡き母の声今も聞こゆる
モネの絵を見つめていると百年余昔のものなる光が届く
eichanは保険業界に身を置くサラリーマンである。短歌には彼の人生のバックグラウンドがよくにじみでていて、読んでいて共感を覚える。わかりやすい短歌だが、鑑賞の助けのために、eichan自身の解説を紹介しておく。
<ユトリロが白で描きし風景を探し求めてモンパルナスを
フランスに行ったときの歌です。モンパルナスは多くの人であふれていましたが、ユトリロが描いた白の世界はどこにあるかと頭に浮かべながら歩いていました。自然に出てきた歌です。今年の年賀状にも登載しました。
言へるなら上司に向かひ叫びたし人生いいろいろ社員もいろいろ
小泉首相が働かずに社員として俸給を貰っていた時の返答をもとにした歌です。こういうことで済むなら人生楽なものです。この歌は会社の人が宴席で取り上げ、笑いをおこしました。本当は怒らないといけないことではあります。
おかあさんがおかあちゃんに変はってた死近き母に吾は叫びし
ガンで余命いくばくもない母に対し、幼い頃のように、「おかあちゃーん」と叫んでいました。いつまでも私の脳裏から離れません。短歌は上手に作るよりも人生の中で感じたことを素直に作ってゆけばいいのかなあと勝手に思っています。今の所、誰かに教えてもらったり添削を受けたりせず自分流でやっております>
自分流といいながら、「自然に出てきた」と作者が語っているように、素直でケレン味がない。一家の風をなしているようにさえ思われる。滋味のある上質の味わいは、作者の人となりであり、人生のキャリアのなせる業なのだろう。
(参考サイト) http://www1.kcn.ne.jp/~e-fuku/index.html
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