橋本裕の日記
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2004年11月22日(月) 堤帝国の崩壊

 ヤンミーさんが、掲示板に「西部の落城近し」と題して書き込みをして下さった。私も書きたいと思っていたテーマだが、ありがたいことに、ヤンミーさんがすっかり書いて下さった。そこで、その文章をそのまま引用させていただくことにした。

<ついに西武王国の落日が始まった。
 18日に証券取引等監視委員会が西武鉄道の本社と筆頭株主のコクドの本社(埼玉県所沢市)に一斉に立ち入り調査に入った。株価は1081円から268円(11月16日)に急落、約3000億円の資産が消えた計算である。上場廃止によって「債務超過」に陥る可能性がある。

 一般的に企業が倒産して株券がパーになっても投資家の自己責任で、今回の場合は大きく事情が異なる。有価証券報告書の虚偽記載が発端のために投資家たちに責任はない。  当然、大損失を被って株主は怒り心頭である。

 商法に詳しい弁護士は、株主は損害額に応じた賠償請求を西武鉄道に起こすことができるとのことである。すでにキリンビール、サントリー、資生堂など20数社がコクドに買い戻し請求しており、損失がかなり大きくなる。

 7月にオーナー会議で1リーグにならないとパ・リーグはつぶれるといった代物で、パ・リーグ球団は欠陥品と言ったのも同然である。西武ライオンズも売却される子会社も手放さざる得なくなったのである。

大株主保有比率の虚偽記載問題。
大株主の持ち株比率80%を超えてはならないという東京証券取引所の上場基準を40年以上も逸脱。

「コクド」や「プリンスホテル」などグループ企業10社で88%の西武鉄道株を保有していた。それを隠ぺいするために、社員1200人に”名義借り”までしていた。さらに、上場廃止を免れるために、インサイダー取引まがいの裏工作までしていたのである。

 60社の取引先企業に虚偽記載の事実をつたえないまま、「公共性の高い鉄道株を一般に広めたい」「安定株主になって欲しい」と堤義明自ら西武鉄道株の購入を要請。8月下旬から9月下旬の1ヶ月半で7000万株を売却し、上場基準の80%をクリアした後、10月13日の記者会見で「虚偽記載」していたことを発表したのである。

 取引先60社への株式売却は、インサイダー取引の疑いが濃厚です。インサイダー取引は、3年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金が科せられ、取引で得た財産も没収される。西武グループの総師・堤義明氏が逮捕される可能性もある。

 3月の「総会屋事件」今回の「虚偽記載」と立て続けに不正が発覚した西武グループの裏話。
 71年に「東声会」の組長だった町井久之に、ススキが生い茂る福島県の”二束三文”の土地を担保に10億円を融資している。その2年後、”乗っ取り屋”の横井英樹に西武鉄道株を買い占められた時は、国際興業元社主の小佐野賢治と大物右翼の児玉誉士夫に”買戻し”の仲介を頼んだ。

今年3月に9人の逮捕者を出した総会屋への利益供与事件にしても、政治結社を介した不明朗な土地取引を総会屋にかぎつけられたことが発端である。法人税を払わないやり方もする。

 申告所得4000万以上の法人は管轄の税務署に公示されるが、コクドは100億円前後を売り上げてきたのに一度も公示されない。そのからくりは、利益が出たら、さらに銀行から借金をして土地や財産を買って金利を払う.営業利益を営業外損失で消し、利益が出ないようにして法人税を免れる。

 堤義明氏は個人はほとんど資産を持たずに、自宅の土地、建物もコクドの所有にしている。  固定資産税は会社の負担になり、家賃払うだけで、子孫まで豪邸に住み続けられるのである。

 堤義明は、グループ内では上場企業とは思えないほどの独裁体制を築いていたのである。米国の有力誌が「封建領主」と名付けたほどである。社内の振る舞いは異常で、女子社員がお茶を出すときに必ずひざまずかせたり、プリンスホテル視察の際には赤じゅうたんを敷かせていた。公私混同もお構いなしで、「萩窪第二夫人」と呼ばれる元銀座ホステスの愛人をグループ会社が所有する約1700坪の萩窪の豪邸に済ませていたのである。

 JOC会長だった立場を利用して、98年の長野五輪でぼろ儲けしたことも語り草である。米経済誌フォーブスは「ミスター堤が金メダルを独占」「五輪誘致の結果、自らのグループ(ホテルやスキー場など)を潤す事業のため、新幹線や高速道路建設で総額150億ドル(当時約1兆9000億円)を納税者に負担させることに成功した」などと皮肉ったぐらいである。ほかにも「出入り業者イジメ」や政界との癒着なども指摘されている。

 西武グループのこうした数々の醜聞は、関係者の間では周知のことで、「堤商法」のいかがわしさ、えげつなさはマスコミの記者なら先刻承知のことである。大新聞は今頃になって、さも初めて西武グループの暗部を知ったかのように大々的に報じているが、カマトトもいいところで、知っていながら、JOCのドンであり、財界の大物である堤義明に遠慮して書かなかった。

 今回の西武グループの虚偽記載事件は、日本の企業が抱える暗部を象徴するもので、どこの会社も、経営者も多かれ少なかれやっている。鉄鋼、電力、銀行、証券など日本経済を支える名だたる企業が総会屋に狙われ、裏で利益供与しているのが実態である。

 東証から上場廃止処分をくらった西武鉄道がジャスタック市場への最上場の準備をしている。この話は東証が処分を決める前から野村証券と組んで周到に準備を進めていたふしがある。 あまりにも市場や投資家をナメタ行為である。

 ジャスタックは80%ルールの基準がないのを目を付けたのである。当分謹慎が当たり前のところにどこまで厚顔な西武鉄道にみんなが口をあんぐりである。
「これだけ大問題を起こしているのに、西武がまずやるべきことは経営の建て直しであり、投資家の信頼回復なのに上場維持しか頭にないとは言語同断です」(明大教授高木勝氏)

 デタラメな企業が、日本を代表する「優良企業」ともてはされてきたのだからひどい、こんな反社会的企業がよくも1部上場していたものだとあきれるばかりである。
(参照 asahi.com ,日刊ゲンダイなど)


橋本裕 |MAILHomePage

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