橋本裕の日記
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2004年11月12日(金) プラトン対話編の謎

 プラトンが生まれた前427年はペリクレスが死んだ翌々年にあたり、ペロポネソス戦争のさなかだった。そして、前404年、プラトンが23歳のとき、アテネはスパルタに降伏した。この少し前、プラトンはソクラテスと出合い、弟子になったようだ。

 スパルタの軍政下におかれたアテネでは、クリティアスが中心になって三十人政権が誕生した。クリティアスは民主政治を否定し、小数者の寡頭政治を行った。この政権下で民主派は弾圧された。

 しかし、やがてクリティアスは殺されて、民主政治が復活する。そしてこの民主政権のもとで、有名なソクラテス裁判が行われ、ソクラテスは死刑になった。このときソクラテスは70歳で、プラトンは28歳の青年だった。

 プラトンはその一生を戦争とそれに続く内戦の混乱期のアテネに生きた。こうした中で、民主政治への批判と不信は生涯続いた。前347年、プラトンは80歳の生涯を終えるが、このとき北方にマケドニアが台頭しつつあった。プラトンはアテネの未来に不安を覚えながら死んだに違いない。

 ソクラテスが主役として登場するプラトンの対話編には、プラトン自身は登場しない。プラトンは晩年のソクラテスと数々の対話を交わしたにちがいないのだが、なぜ、ソクラテスの対話の相手として登場しないのか。これは対話編の大きな謎である。

 さまざまな解釈があるだろうが、私の解釈は、対話編のソクラテスは実はプラトン自身の姿だというものだ。プラトンはすでにその師ソクラテスと完全に同化していたのである。


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