橋本裕の日記
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2004年11月11日(木) 自由と責任

 私はこの五年間、毎日休まず日記を書いているが、数年前からは「戦争体験を語り継ごう」というML(メーリング・リスト)の会員になって、そこにも毎日のように投稿している。今朝も、「自由と権利にともなう責任」と題して、こんな文章を投稿した。以下に全文を掲げておこう。

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「週刊朝日」の「天皇陛下のリベラル性」という記事の紹介、ありがとうございました。園遊会での米長さんにたいする平成(の)天皇の「強制はいけない」という趣旨のお言葉は印象に残りましたが、私も陛下の折々の発言に、憲法遵守の精神を見て、共感を抱いていました。

 76年3月10 日、学芸大学付属世田谷小学校の創立100周年式典での陛下の発言は、初耳でした。これもとてもすばらしいお言葉だと思います。

「……私どもの時代は極端な時代でありました。二年生になったとき制度がかわり、小学校という名前は国民学校という名前にかわりました。それぱかりではありません。慣れ親しんできた『ニュース』という言葉も敵国の言葉だというので『報道』という言葉にかわりました。当時はある決まった方向に考え、そしてそれに沿って表現しなければならなかったのです。今みなさん方が受けている教育で、最も良いと思いますことは、皆さん方が自由に考え、自由にそれを表すことができるということであります。しかしそういう自由を持つということは一方において重大な責任を負うことにもなるのです。この二つは車の両輪です」

「なぜ日本は特攻戦法をとらねばならないのか」と戦時中、陸軍将校に質問した小学生時代の陛下のエピソードからは、今日の陛下の姿勢はすでに幼い頃からだったことがわかります。陛下は洗脳されていなかったようですね。

 国歌を斉唱しろ、国旗に敬礼せよなどと口やかましく言い、職務命令を出して強制しようとする人々に言いたいですね。まず、「日本国憲法」を尊重し、遵守していただきたい。それが為政者としての第一の責任であり義務であるはずです。

 ちなみに、憲法第100条には、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」となっています。憲法とその精神(主権在民、平和主義、基本的人権の尊重)を尊重する気持のない人は、大臣や議員、公務員になってはいけません。

 したがって、89年1月9日の「即位後朝見の儀」で、陛下が述べられたという、「皆さんとともに日本国憲法を守り、これに従って責務を果すことを誓い…」という当然のお言葉を、一部の人が「陛下は護憲派に味方するのか」と問題視したというのはとんでもない言いがかりです。

 天皇のみならず、日本の首相や首長たちは議会の就任演説でまずこの「日本国憲法順守」の宣誓を行うべきではないかと考えます。また、過去に憲法をないがしろにした発言をしたことがある人は、その発言を撤回しない限り、公職につくべきではないと考えます。

 もちろん、平和憲法も人間が創ったものです。金科玉条とすべきものではありません。国民の総意により、これを変えていくことはあっていいし、その為の議論が行われることは何等問題はありません。そしてその自由は、憲法自身が保障しています。

 しかし、このことは、憲法を無視したり、ないがしろにしていいということではないはずです。学校教育においても、「憲法」と、その憲法に基づいて施行された「教育基本法」は尊重されなければならないと思います。

「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に耐へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」(第97条)

 戦前、戦中の日本は自由にものが言えない時代でした。人権抑圧がいたるところで行われていました。戦後は時代が変わったという人がいますが、安心していてはいけないと思います。「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」(第12条)と強調されているのも、世界の歴史の教訓を踏まえてのことです。

 そして、陛下が語られたとおり、自由には責任がともなう、という認識も大切です。憲法第12条は「又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ」と続いています。

 私は戦後の民主的教育が間違っていたとは考えません。しかし、改善点はあると思います。それは「自由・権利に伴う責任」ということがしっかり教えられてこなかった点です。

 しかし、これも、その実態をよく見ないといけないと思います。でないと、短絡的に、「自由はいけない。強制だ」ということになりかねないからです。大切なことは、「自由と責任を車の両輪として教える」ことです。そしてそのためにお手本を大人達は示さなければなりません。公職にあるもの、教育に携わるものの責任は大きいと思います。

 国民に義務や責任を説く前に、政治家は自らの義務と責任を果たすべきでしょう。そして日本の政治家にとって最大の義務であり責任であるものは何かと言えば、「日本国憲法」を遵守し、「これを不断の努力によって保持する」ということなのです。私は平成(の)天皇がそのよきお手本となられていることを評価します。

(参考サイト)
http://www.rose.sannet.ne.jp/nishiha/senso/
http://tseiso.hp.infoseek.co.jp/ml/(テーマ別)


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