橋本裕の日記
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| 2004年09月04日(土) |
ブッシュとシャロンは双生児 |
マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画「華氏911」を見た。これをみると、ブッシュ家がサウジの王家と石油ビジネスを通していかに親密かということがわかる。そしてこのことが、アメリカ政府の911事件への対応を誤らせたといわんばかりだ。
しかし、私はブッシュはサウジの王家と親密なのはあくまでもビジネスの話だと思っている。イラクの独裁政権を倒し、アメリカ流の「民主主義」を世界に押しつけようというネオコンの主張に、一番警戒心を持っているのはサウジアラビアの王家だろう。実のところ、サウジアラビアはアメリカのイラク攻撃が迷惑だったはずだ。
ブッシュの朋友は、じつは別にいる。それはイスラエルのシャロン首相だ。イラクを潰して欲しいと一番願っていたのは、シャロンである。イラクが一番敵視していたのがイスラエルであり、フセインはパレスチナの武装勢力を資金的に援助していた。彼はパレスチナの自爆テロ実行者の家族に、1万ドルから2万ドルの見舞金を出していたという。これは当地では数億円に相当するお金だ。
フセインが倒されて、パレスチナ解放戦線は資金源を絶たれ、活動が鈍った。アメリカのイラク攻撃で一番利益を上げたのは、他でもないイスラエルであり、アルカイダの標的になったサウジアラビアはじつは被害者でさえある。
2000年の大統領選挙を振り返ってみると、11月の大統領選挙を目前にした9月のある日、当時野党リクードの党首だったシャロンは突然アメリカを訪れた。このときシャロンはブッシュサイドとコンタクトを持ったとされている。そして、その1週刊後の9月26日に彼は突然、1000人ものお供を連れて、エルサレムの丘に姿をあらわした。
これにパレスチナ人が反発し、争乱状態になった。最近の中東危機がここから始まった。自爆テロとイスラエル軍の報復でどのくらにの人命が奪われたかしれない。和平に向かっていた流れは逆転し、このどさくさの中でシャロンは翌年3月に労働党から政権を奪い、今日に至っている。
シャロンのエルサレムの丘訪問にはじまる中東の危機が、石油価格を押し上げ、アメリカの株式市場が急落した。これが当時のクリントン政権を直撃し、次期大統領確実と思われていたゴア陣営に大打撃を与えた。つまり、シャロンのエルサレムの丘への訪問は、ブッシュを大統領にするために仕組まれた巧妙な戦略だったように思われる。
結果から見ると、この作戦は大成功だった。ブッシュもシャロンもこうした混乱を利用して、政権の座についたからだ。ブッシュとシャロンは「一卵性双生児」だという人がいるが、うまい表現だと思う。この二人を合わせ鏡にすると、とんでもない歴史の真実が浮かび上がってくる。
ブッシュのイラク攻撃の有力な動機の一つに、シャロンへの恩返しがあったことが考えられる。しかし、こうした政権をめぐるかけひきのために、この4年間でどれだけの血が流されたことか。マイケル・ムーア監督は「華氏911」で、サウジアラビアとブッシュについて語ってはいるが、残念ながらもっと重大な巨悪の真相については沈黙している。
ところで、8月28日にアメリカのCBSテレビが奇妙なスパイ事件をスクープした。国防総省でイランに関する諜報や政策立案を担当するラリー・フランクリンが、政府の機密文書をイスラエル政府に流した容疑で、FBIが捜査を進めているという。
なぜこのスパイ事件が奇妙かというと、国防総省の幹部がこそこそとスパイ活動などしなくても、ブッシュからシャロンへいくらでも超一級の情報が流されそうなものだからだ。実際、アメリカ政府の情報に詳しい国際ジャーナリストの田中宇さんも「田中宇の国際ニュース解説9/3」にこう書いている。
<この事件が奇妙なのは、米政府内では現在、イスラエルと親しい関係にある「ネオコン」の人々が外交政策、特に中東に関する政策を取り仕切っており、イスラエルのシャロン首相ら高官は、ネオコンの人々といくらでも自由に話し、アメリカの対イラン政策の全容を簡単に聞き出すことができるはずなのに、なぜわざわざ国防総省の中級幹部から文書をもらわねばならないのか不可解だ、という点である>
大手メディアの流す情報を、そのまま受け取るとしばしばまちがった先入観を植え付けられる。私たちはメディア・リテラシーを磨いて、報道の背後に隠された真相を見つめる必要がある。たとえばイスラエルに不利と見えるこのスクープも、ブッシュ政権とシャロンの関係を隠蔽するために、大統領選を前にして仕掛けられた世論誘導の一つかも知れない。
(参考サイト)http://tanakanews.com/
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