橋本裕の日記
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沖縄県宜野湾市で13日に起きた米海兵隊所属の大型輸送ヘリ墜落事故からもう16日がたった。米軍は「日本は通常、合衆国軍隊の財産について捜索、差し押さえまたは検証を行う権利を行使しない」という「地位協定23条」をたてに、沖縄県警沖の現場検証を拒否している。
米軍基地を抱える都市の市議ネットワーク「追跡!在日米軍・リムピース」のメンバー、田村順玄・岩国市議は東京新聞8/20の「日本、いまだ占領国」の中で次のように語っている。
「小泉政権は公共事業締め付け政策を進めるが、在日米軍基地整備など“思いやり予算”は聖域扱いで、ゼネコンが絡んだ利権の温床になっている。例えば岩国基地拡張工事では、約三千億円の予算投入が見込まれる。普天間から移設が予定される名護市辺野古の事業でも同額の予算が必要だ。米軍の陰でうまい汁を吸う政治家は何も言えない」
また同じく、軍事評論家の神浦元彰はこう語っている。
「米軍基地がある地域の土壌はダイオキシン類で汚染される場合が多い。現地では『(汚染土を)海上投棄するために事故機で運搬していたので、米軍が隠ぺいを図った』という見方や、現場検証などで米兵がガイガーカウンターを持っていたという話から、『劣化ウラン弾を海中投棄目的で搭載していたのでは』との推測まで出ている」
元「航空ジャーナル」編集長で評論家の青木謙知氏は「ドイツでは同様の事故で警察が現場検証できる。しかし、韓国は日本と同様に制限される。日米地位協定が不平等のまま放置されてきたことこそ問題」と強調している。30年前の横浜の墜落事故でもパイロットの事情聴取はまったくできなかったそうだ。三十年近くたっても事態は変わっていないわけだ。
普天間飛行場を抱える宜野湾市は市の25%が基地で占められているが、事故対応に追われる同市基地渉外課の担当者は次のように語っている。
「基地所属のヘリ56機中20機がイラク戦争に配備されていると米軍の外交政策部から教えてもらったが、今回の事故機はローテーションで各基地をまわっており、もともと、どんなヘリが何機ここにあるのかさえ分からない。・・・
復帰前の59年6月、石川市の小学校に米軍ジェット戦闘機が墜落、児童11人を含む17人が死亡した。基地を抱え込むように住宅があるこの街では、パイロットと目が合うくらいヘリとの距離は近い。事故後は、飛行機の爆音を聞くだけで胸が締め付けられると訴えてくる市民もいるんです」
沖縄県知事の要請や、沖縄県民の反対にもかかわらず、米軍は22日には同型ヘリの飛行を再開させた。これに対する日本政府の反応は鈍く、官房副長官がこれに抗議しただけである。ようやく27日になって、関係閣僚会議がひらかれ、「対応が適切であったかどうか、米国側と協議する」方針を決めたが、小泉首相の肉声がほとんど聞こえて来ない。
政府・与党内には「地位協定」の見直しは必要なく、運用面で米国に善処を求めるという声が多いようだが、私は安保条約も含めて、根本の安全保障体制を見直すべく、世論が動く必要があると考える。戦後60年近く経過し、そして1989年11月6日にベルリンの壁が崩壊し、冷戦が終結して15年近くなるというのに、いまだに日本が4万人あまりもの外国の軍隊に占拠されているいう現実の異様さに目をむけるべきではないか。
アメリカ軍の全兵力は2000年の段階で138万人である。米本土・属領に113万人、海外に26万人が駐留している。海外の陸上配置部隊は約21万人で、NATO諸国とアジア・太平洋地域に約10万人。国別の陸上配置駐留軍人の数はドイツが最大で6.9万人、ついで日本が4万人、韓国が3.7万人イタリアとイギリスが各1.1万人となっている。
米軍は「一つの大戦争と、1−2カ所の小規模戦争を同時に戦えるようにする」という2方面戦略をとってきた。そのために日本の米軍基地と自衛隊を最大限活用したいというのがアメリカの戦略だったわけだ。
現在アメリカ国防総省は、米軍が「最初の10日間で戦地に展開し、次の30日間で戦争に勝ち、その後の30日間で帰国して次の戦争の準備をする」という「10−30−30」計画を実現するための米軍の構造改革を進めているといわれている。つまり、少数精鋭のハイテク部隊が速攻で戦争を展開することで、合計2カ月と10日間で一つの戦争を終えられ、米軍は年に5回の戦争を戦えるようになるわけだ。
これまで最大の米軍を受け入れてきたドイツでも、戦後は戦争責任を明確にして近隣諸国と友好関係を築き、冷戦終了後は、これを背景にアメリカと交渉して、どんどん米軍基地を縮小してきた。アメリカ政府はドイツから一個師団1万5千人を撤収する予定だそうだ。ところが日本政府は潤沢な予算までつけて、米軍を駐留させている。
米軍駐留経費の日本側負担は、2004年度でみると、基地用地賃借料などの1820億円に加え、在日米軍が使用する施設・区域の提供施設整備費など、いわゆる「思いやり予算」と呼ばれるものが約2441億円もあり、あわせると4000億円を越えている。これは政府が中小企業対策に使った予算1738億円の2.5倍だ。
アメリカ政府は、在韓米軍3万7000人のうち1万2500人を、2005年末までに削減することを明らかにしている。在日米軍についは、アジア太平洋全域を担当する陸軍第1軍団司令部がワシントン州から神奈川県のキャンプ座間へ移転する、また航空自衛隊の航空総隊司令部を米軍横田基地が受け入れるよう日本政府に要請しているようだ。そのねらいは衛隊を米軍と一体化し、これを自らの指揮下におくことだろう。
どうじに、沖縄の第3海兵師団第12砲兵連隊を北海道の陸上自衛隊矢臼別演習場へ移転するなどとしているが、こうした新戦略のもとでも日本のアメリカ軍基地が大幅に撤収されるとは限らない。日本にアメリカ軍の精鋭基地をおき、自衛隊をその指令のもとに手足として活動させることがアメリカのねらいだからだ。
こうしたアメリカの世界戦略に協力すべく、日本は武器輸3原則をかえ、また憲法まで変えようとしている。これはますます米軍の日本の占領を長引かせ、日本の独立国としての威厳をそこなうものだ。
日本から米軍基地をなくさない限り、日本はほんとうの独立国とはいえないのではないか。外国の軍事基地がある以上、主権国家ともいえない。戦争で死んだ人たちがこのていたらくを見たら、あきれかえり、嘆き悲しむに違いない。
それでは日本から米軍を撤退させるために何をしたらいいのか。それは先の戦争責任を明確にし、近隣諸国と友好をはかることである。首相が戦犯を祭った神社に参拝を繰り返しているあいだはまず無理だろう。
(参考サイト) http://tanakanews.com/blog/0404190112.htm
http://books.bitway.ne.jp/bunshun/ronten/excite/ sample/enquete/040624.html
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