橋本裕の日記
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2004年07月31日(土) ドルの金本位制復帰なるか

 1971年8月15日に共和党のニクソン大統領は、「金とドルの交換を一時的に停止すること」をテレビを通して命じた。こうして「ニクソン・ショック」が世界に走った。

 なぜドルと金との交換を停止したかといえば、金の準備高が底をつきそうになったからだ。1949年時点で、アメリカは世界の金の73パーセントを独占していた。ところがベトナム戦争の戦費をかせぐためにアメリカはドルをすり続けたため、約1万4千トンもの金をドルとの交換で失い、金保有率は20パーセントにまで激減した。

 とめどない金の放出を阻止するために、ニクソンはテレビで「金との交換の一時的停止」を宣言したわけだ。問題はこの「一時的な措置」がもう30年以上も続いていることだ。そして、この間に、アメリカは着々と金の保有率を上げてきた。高橋康夫さんは著書「金急騰!」(廣済堂出版)の中で、アメリカは現在2万トン以上の金を再備蓄していると指摘している。

 問題はいつアメリカが金本位制に復帰するかということだ。金本位制に復帰できれば、ドルは威信を取りもどす。強いドルが復活し、ユーロや円はもはや敵ではなくなる。唯一の世界の機軸通貨として、ユーロを世界市場から一掃することもできる。ブッシュは金本位制への復帰という「ブッシュ・ショック」を狙っているのではないか。

 ドルの金本位制への復帰は、外貨準備高8千億ドルあまりをドルで持っている日本には朗報のように思えるが、かならずしもそうではない。アメリカはおそらく、これを旧ドル扱いにして、あたらしく発行する新ドルから金との交換を求めるだろうからだ。

 そうすると、旧ドルは紙くずになりかねない。日本だけではなく、世界に流通している4千億ドルもまた紙くずになりかねない。ひとり新札の発行権を独占しているアメリカだけが高笑いという事態になる。

 金本位制に復帰できれば、ブッシュはアメリカの歴史に名を残すことになる。なぜなら、金本位制復帰こそ、ニクソン以来の共和党政権の悲願だったからだ。共和党政権のみならず、これは民主党政権にもいえる。

 巨大な双子の赤字をかかえるアメリカにとって、金本位制復帰は現実的な問題だ。国際社会におけるアメリカの地位を考えれば、これまではまずあり得ないと考えるのが常識だった。しかし、巨大な軍事力を背景に、単独行動を辞さなくなったアメリカに、もはや国際社会の圧力が通じるか疑問である。私たちはこうした恐ろしいシナリオが存在することを忘れてはならない。

 30兆円もの米国債を買い込んだ小泉首相に、ブッシュ・ショックに対する備えがあるとは思えない。最後に、WGCが発表した2003年12月現在の主要国の外貨準備高における金の占める割合を資料としてあげておこう。

アメリカ・・・58.2パーセント
イタリア・・・57.4パーセント
フランス・・・55.2パーセント
オランダ・・・47.3パーセント
ドイツ・・・・45.3パーセント
スイス・・・・32.3パーセント

 これにたいして、

日本・・・・・1.5パーセント


橋本裕 |MAILHomePage

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