橋本裕の日記
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2004年07月22日(木) 占星術の国インド

 世界で一番占星術が盛んなのがインドらしい。大学教育を受けたエリートビジネスマンのシャルマさんですら日本に出発する日を占星術で決めている。ニューデリーの占星術師は最新式のコンピューターを使って、出発日を決めてくれた。さらにトパーズを身につけるとよいというので、シャルマさんはその足で高級宝石店へ行って、トパーズの指輪を買ったのだという。

 占星術は1500年前にギリシャから伝えられた。そしてインドでは多くのことが占星術によって決められている。たとえば1947年8月15日にインドはイギリスから独立したが、独立記念日は前日の14日に繰り上げられた。これも占星術の結果だという。

 あのマハートマ・ガンディまでが独立日を占星術で占っていたというのは少し意外だ。現代のインドはコンピューター技術者が世界一多い国だとも言われているが、その国で占星術が横行し、しかもその複雑な計算をコンピューターが行っている。

 シャルマさんの正式な名前は、モーハンダース・カラムチャンド・シャルマという。このモーハンダースという名前も、多くのヒンズー教徒がそうであるように、出生時の黄道宮が属した宇宙音に従ってつけられたのだという。ちなみにシャルマさんの守護星は木星プリハスパティだという。

 インド社会なぜインドで占星術が幅をきかせるのか。それはインドが多民族・多宗教国家であることがひとつの理由ではないかとシャルマさんはみている。しかも家族が多いので、なかなか意見がまとまらない。そこで、占星術を持ち出すことで、ようやく何かを決めることができるというわけだ。

<価値観や宗教を異にする他民族によって構成されるインドのような複合国家は、国家原理の根幹にこのようなニュートラルで神秘的な決定手段を持っていていいのだと私は思う。論理を超え、直接感情の深層に働きかけることによって統御不可能なものを統御することができる。私はそれを賢い方法だと思っている。というのも、論理は文化の形によってさまざまに異なり、あるときはお互いに正反対であることがあるから、主張すればするほど相互に軋轢を生む>

 インドを訪れた日本人は、占星術が彼らを支配しているのに驚くだろう。そして彼らを遅れた人々として軽蔑するかも知れない。しかし、シャルマさんは、占星術の宗教を超えたパラダイムはインドには必要なものだという。それは「非合理のなかに潜む合理」だとも書いている。

 こうしたことは単一民族国家の日本でも、見られないわけではない。私たちは結婚式や葬式の日取りを大安や友引といった「民還暦」の日柄によって決めている。これもまた不合理な因習のようでいて、何かの実用的価値をもっているのかもしれない。本来文化というものはこうした懐の深いものなのだろう。


橋本裕 |MAILHomePage

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