橋本裕の日記
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| 2004年07月17日(土) |
宇宙の年齢を測った男 |
私たちの棲んでいる宇宙はどのくらいの大きさがあるのだろうか。宇宙の大きさが無限だと考えていた人もいたが、今では多くの学者がこの宇宙は有限だと考えている。それにともなって、宇宙の年齢も有限だという考えられるようになった。宇宙は140億年ほどまえに「ビッグ・バン」によって生まれたというのが定説になっている。
ビッグ・バンによって、空間が生まれ、時間が生まれ、物質が生まれた。つまり、この世界が生まれた。そして最初は針の先のように小さな点に過ぎなかった宇宙が、140億年かけて膨張し、現在見られるすがたになったわけだ。
こういう話を聞くと、それではそのビッグ・バンが始まる前は世界はどうなっていたのかと疑問に思わずにはいられない。時間も空間もない世界を私たちはどのようにして想像したらよいのだろう。残念ながら、私もこの問には答えられない。それは私たちの想像を絶する世界だとしかいいようがないのだ。
こうした「ビッグ・バン宇宙論」を最初に唱えたのはガモフ(1904年〜1968年)だが、それでは何故、彼はこんな荒唐無稽なことを思いついたのだろうか。そのためには、もう少し時間を遡ってみなければならない。
宇宙空間は無限であり、空間や時間が物質のように生まれたり消滅したりするものではいことは、物理学者もあたりまえの常識として受け入れたいた。このことは「相対性理論」を発見し、時間と空間について革命的な発見をしたアインシュタインもそうだった。
もっとも、アインシュタインの相対性理論から導かれる宇宙方程式を解くと、実は宇宙が膨張したり収縮するするという解が導かれる。そこでアインシュタインはこれを不可能にするため、その方程式に「補正項」を加えて、静的な宇宙像を守ろうとした。
しかし、1922年にフリードマンはアインシュタインのこのやりかたを批判した。補正項などつけくわえなくてもよいというわけだ。そして彼自身独自な計算をして、「宇宙は膨張する」という結論を導き出した。アインシュタインはこれに反対した。彼は宇宙は静的で調和がとれたものでなかればならないと考えていたようだ。しかし、アインシュタインはやがて自分の間違いを認めなければならなくなった。
1928年にアメリカのE.ハッブル(1889-1953)がウイルソン天文台の直径100インチの天体望遠鏡で観測していて、あることに気付いた。それは、「私たちの銀河の外にあるすべての銀河は、私たちの銀河から遠ざかりつつあり、 その遠ざかる速度はその銀河までの距離に比例する」ということだ。式に書くと次のようになる。
v=Hr (vは後退速度 rはわれわれからの距離 Hはハッブルの定数)
ハッブルによると、この宇宙に存在するすべての銀河は、その距離に比例する速さで遠ざかりつつある。これは風船を膨らませたとき、その表面が膨張するときの情況に似ている。私たちの棲んでいる宇宙はある意味でこの風船の表面のようなものだと言える。
これという中心はなく、その表面に散らばっている点(銀河)は、風船が膨らむにつれて、それぞれの距離に比例して拡大していく。もちろん、実際の宇宙空間は3次元だから、風船の表面のような平面ではない。これはあくまでもたとえに過ぎない。
1929年、彼はこれを 「ハップルの法則」として発表した。アインシュタインはさっそく、ウイルソン天文台に行って望遠鏡をのぞき、ハップルの観測データを確かめて、 ついに「宇宙は膨張する」ことを事実として認めた。
ハッブルの観測によると、距離が100万光年遠くにある銀河の後退速度はおよそ20km/sである。1000万光年で200km/s、1億光年で2000km/s、150億光年だとちょうど30万km/sで、これは光速に等しい。そしてアインシュタインの理論によれば、私たちは光速より速く移動する物体を考えることができないわけだから、これが私たちからもっとも遠い宇宙の場所だということになる。風船のたとえで言えば、丁度裏側にある点である。
そこで時間をさかのぼってみよう。150億光年先にある銀河は、150億年前にはどこにあったのか。いうまでもなく、それは私たちの鼻先にあったことになる。つまり、150億年前には宇宙全体がわれわれのところ、つまり1点に集まってしまう。ガモフはこうした推論から、1946年に「ビッグ・バン宇宙論」を発表したわけだ。
ハッブルの定数は、このように宇宙の年齢を決める重要な数値だが、じつは遠い天体ほど、その距離の測定が難しい。最近はハッブルの定数は100万光年につき20km/sより少し大きいらしいことがわかってきた。この宇宙の年齢は140億年より少し若い可能性もでてきた。宇宙に誕生があるとすると、死もあるのだろうか。宇宙の寿命について、明日の日記で書いてみよう。
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