橋本裕の日記
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人に一生があるように、星にも星の一生がある。たとえば、太陽は誕生して45億年ほどになるが、その寿命は100億年ほどだと考えられている。末期にはどんどん膨れ上がり、地球も太陽に呑み込まれる。そして最後にはまた収縮して、白色矮星になる。
宇宙はビッグバンによって140億年ほど前に始まったと考えられる。これは理論的には一般相対論の方程式を解くと、そうした答えが得られる。「宇宙背景マイクロ波放射」の存在やハッブルの観測からも実証されていて、今ではほとんどの物理学者はこれを信じている。
その理論によると、宇宙が始まって1秒後の温度は100億度くらいだったという。そしてその後の3分間で、現在の宇宙を構成する主要な元素である水素とヘリウムの原子核がつくられたと考えられている。もし、この3分がもう少し長引いたらどうであっただろうか。
そうすると水素の大半がヘリウムになり、ヘリウムから炭素や酸素、さらに鉄や鉛といった重金属が作られたに違いない。そうするとどうなるか。大量の水素がなければ太陽のような恒星が存在することはできず、おそらく生命も誕生できなかったのではないかと思われる。
3分間で水素が作られ、その後、宇宙が冷えていくなかで恒星が誕生し、やがてその恒星の中で炭素や酸素、鉄などの元素が次々と作られていく。やがてその恒星が爆発し、その重金属の塵をまきちらす。その塵がふたたび集まって次世代の太陽や惑星が誕生した。そうしてできた惑星のうえに生命が誕生したわけだ。神戸大学教授の松田卓也さんのHPから引用しよう。
<人間は有機物からできており、その主体は炭素原子である。水素とヘリウムを軽元素、それ以外を重元素とよぼう。人間を構成する元素としては、炭素のほかに酸素、窒素、鉄などさまざまある。この地球も、中心部を構成する鉄、ニッケル、岩石を構成する珪素、海の水を構成する酸素、空気の成分である酸素と窒素などの重元素からできている。
しかしこれらの重元素は宇宙の主要な構成要素ではない。重元素は全体のたった3パーセントしかないのである。この3パーセントの存在が、われわれ人間にとっては極めて重要なのである。宇宙の主要な構成物である水素とヘリウムだけでは、惑星も生物も人間もつくれないのである。
ところが重元素は宇宙にもともと存在したものではない。宇宙の始めの3分間に水素とヘリウムという軽元素はできたが、炭素や酸素などはできなかった。重元素は星の中で作られる。星が一生の終わりに大爆発をして、これらの重元素は星の外にまき散らされる。
重元素で汚染された気体から、あらたな星が作られる。重元素のチリが固まって惑星ができる。惑星の上で生命が誕生する。生命が進化して人間が発生する。人間が宇宙のことを考える。皮肉な話だが、宇宙の重元素汚染が生命誕生のもとなのである>
幸い、私たちの宇宙の火の玉状態は3分間しか続かず、その後急速に膨張し、温度が下がって行った。そして10万年ほど経過すると、宇宙の温度は4千度程度になる。この温度まで下がると、それまで遊離していた電子が原子核と結合し、宇宙のプラズマ状態が解消される。そしてこれまで曇っていた宇宙が、突然透明に晴れ上がることになる。
ガモフはこのとき宇宙に生まれた光が、現在も薄められてこの宇宙に残っている筈だと予言し、実際にペンジアスとウイルソンが1965年に電波アンテナを用いて偶然に発見したわけだ。この絶対3度の宇宙背景放射の存在が決め手になって、ビッグバン理論は学会でもっとも確からしい理論として認知されたわけだ。
それでは、この宇宙の今後の運命はどのようなものだろうか。これには大きく二つのシナリオがある。宇宙はこのままとめどなく膨張を続け、しだいに星星はその光りをうしない、やがて永遠の静寂の中に落ちていくというのがひとつ。
もう一つのシナリオは、宇宙はやがて重力によって収縮を始め、ふたたび一点に収縮し、やがて新たなビッグバンが生じて、宇宙が再生するというものである。私としては「宇宙再生説」にロマンを感じるが、さて宇宙の運命はいずれになるのだろうか。
(参考サイト) http://nova.scitec.kobe-u.ac.jp/~matsuda/matsuda.html
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