橋本裕の日記
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2004年06月25日(金) 数の原子論

 デモクリトスはすべての物質は「原子」からできているという考えたが、こうした「原子論」を数の世界に適用したのが、「素数」(prime number)である。2,3,5,7・・・のように、1とそれ自身でしか割り切れない数、言い換えれば1と自分自身以外に約数を持っていない数を素数というが、すべての自然数はこの素数か、素数の積(合成数)から出来ているということを、ギリシャ人は発見した。

 1(単位数、ふつうは素数に加えない)
 2(素数)
 3(素数)
 4=2×2
 5(素数)
 6=2×3
 7(素数)
 8=2×2×2
 9=3×3
 10=2×5
 11(素数)
 60=2×2×3×5
 1386=2×3×3×7×11

 素数はいわば「数の原子」である。ギリシャ人はこうして、ものを細かく分割して考えるという分析的思考が得意だったようだ。この複雑な世界の成り立ちや現象を、なるべく単純なものや原理に分解して理解しようとした。

 ところで、原子には原子番号がついている。
  水………1 H 水素
  兵………2 He ヘリウム
  リー……3 Li リチウム
  ベ………4 Be ベリリウム
  ぼ………5 B ホウ素
  く………6 C 炭素
  の………7 N 窒素
        8 O 酸素
  ふ………9 F フッ素
  ね………10 Ne ネオン

  大きいところでは、ラジウム88,ウラン92、プルトニウム94などがある。一番大きいのは109番のマイトネリウム。大きな原子は不安定で、放射能を出して壊れる。いわゆる放射性元素といわれるものだ。

 物質の原子は有限だが、それでは数の原子である素数は有限だろうか。実はいくらでも大きな素数が存在する。素数は無限に存在することをすでにギリシャ人は証明していた。その証明はとてもエレガントなもので、一度聞いたら忘れることができない。

「素数が有限だとして、その有限な素数をすべて掛け合わせてみよ。さらにそうしてできた素数の積に1を加えて見よ。これは新たに作られた素数であり、素数が有限であるということと矛盾している。よって、素数は有限ではなく、無限に存在する」

 こうした証明法を「背理法」という。ギリシャ人はこの「背理法」の名人だった。2乗して2や3になる数が自然数の比であらわせない数(無理数)であることを発見し、これを証明したのもギリシャ人である。これらのエレガントな証明が有名なユークリッドの本「幾何学原論」のなかに書いてある。

 小川葉子さんの「博士の愛した数式」のなかには、素数についての魅力的なエピソードがたくさん語られている。その中から、ひとつ紹介しよう。無限にある素数のうち、2以外の素数は、全て二つに分類される。4n + 1 か4n - 1かどちらかである。前者の素数は常にふたつの二乗の和として表わすことができるが、後者は決してこの数式で表わすことが出来ない。なぜだろう。素数はまだまだ無数の秘密を隠している。


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