橋本裕の日記
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2004年05月27日(木) アメリカに広がる中世の闇

 アメリカと言えば、自由と民主主義の国というイメージがある。科学技術でも世界をリードし、ノーベル賞学者がぞろぞろいるというイメージがある。しかし、こうしたアメリカ像は、いま急速に壊れつつある。いままで隠されていたもう一つのアメリカが最近いたるところで露出し始めたからだ。

 毎日新聞(5月26日)の「宗教社会の底流」という記事を読むと、アメリカの教育現場で「進化論の排除」が広がっているらしい。公立高校の中には進化論をほとんど教えない学校がある。たとえば、ジョージア州コブ郡の公立高校では、地元の教育委員会の命令で、生物の教科書に「進化論は仮説。事実ではありません」というシールが貼ってあるという。

「聖書」には神が6日間で世界を創造したと書いてある。聖書の記述はあきらかに「進化論」と矛盾している。「聖書」を信じる以上、「進化論」は否定されなければならない。コブ郡の高校では、3割の教師は進化論をまったく教えない。そして5割の教師が教えても1日だけですませているのだという。同郡のマイケル・マニーリー弁護士は次のように言う。

「米国は暗黒時代に戻りつつある。宗教右派は各地の教育委員会にメンバーを送り込み、民主主義を否定してセオクラシー(神による統治)を実現しようとしている」

 昨年1月、ジョージア州では教育指導要綱から「進化論」という言葉を排除しようとして問題になった。しかし。こうした動きはすでに、99年にカンザス州から始まり、ミシガン、イリノイ、テキサス、アラバマ、アリゾナ、ネブラスカ、ケンタッキーなどの各州に広がっている。アラバマ州ではやはり教科書に「進化論は事実ではありません」というシールが貼られているという。

 1925年、進化論を教えた公立高校の教師が、テネシー州の裁判所で有罪判決を受けている。こうした判決がこれからアメリカの各州の裁判所で行われる可能性がある。おりしも、東京都では君が代斉唱に起立しなかった教師が処分された。日米両国で、「暗黒時代」を思わせるいやな動きが広がろうとしている。


橋本裕 |MAILHomePage

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