橋本裕の日記
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| 2004年05月19日(水) |
政治家は説明責任を果たしなさい |
年金未納問題が日本の政治を狂わせ、停滞させている。年金法案を審議している国会議員や閣僚のかなりの人たちが期間の長短はあるにせよ、年金を納入していなかったというわけだから、これはあきれるしかない。
もっとも日本の年金制度は非常に複雑で、しかも度重なる法改正がおこなわれていて、国民の多くも理解しがたいというのが現状だろう。政治家と一般国民を等しく考えることはできないが、彼らにも情状酌量の余地はある。
しかし、私が問題にしたいのは、年金未納そのものばかりではなく、そうしたことにたいする彼らの責任の取り方である。何も議員を辞めよとか、閣僚や党首を辞めよとは言っていない。未納に至った事実を説明し謝罪すればすむことである。問題をこじらせているのは、そこに至るまでの彼らの誠意のなさであり、対応のまずさである。
日本の政治家に足らないのは「説明責任」に対する自覚ではないかと思う。官房長官をやめた福田氏など、とくに内閣のスポークスマンとしてその責任が大であるにもかかわらず、ほとんどその責任をはたさなかった。
話は変わるが、日本で初めの本格的な英和辞典は、1862年に出版された「英和対訳袖珍辞書」だと言われている。編纂責任者の堀達之助で、この人は浦賀奉行配下のオランダ通詞で、ペリー来航のおりその通訳をした人である。そのときはオランダ語しか話せなかったのだが、9年後にはもう英語をマスターして、日本初の本格的な辞書まで出版している。福沢諭吉も伊藤博文もこの辞書で英語を学び、この辞書をふところにして外遊した。堀は前書きで、こんなことを書いている。
<この辞書が完璧でなくとも、興味のある方への助けとなり、日々の勉学に最も役立つ単語が掲載されていることを心から望んでおり、そして至らない部分は次の版で改善すべくご指摘いただきたい。・・・世界中の異なるしきたり、習慣や相互関係、そして日常の重要な出来事や変化を知るために、世界中で話されている言葉(英語)に対する知識が、いかにかかせないことか>
この総語数3万語におよぶ辞書にはもちろん、「responsibility」という単語も収容されていて、堀は「返答すべきこと」というその訳語をあてている。今日この英語は「責任」と訳されているが、その原義が「返答すべきこと」であるというのは重要な点だろう。とくに、国民の「自己責任」ばかり言いたてる政治家には、「責任」という言葉のそもそもの意味をもういちどこの辞書で確認してほしいものだ。
(参考文献)「サムライと英語」(明石康著、角川書店)
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