橋本裕の日記
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| 2004年05月16日(日) |
人間性を破壊する戦争 |
朝日新聞の記事によると、米国防総省は12日、イラクの刑務所で撮影された写真やビデオ映像を上下両院議員に3時間におよび公開したという。虐待とおもわれる写真は数百枚におよび、胸をはだけさせられたイラク人女性、自慰や性行為を強制されるイラク人男性のほか、米兵の男女による性行為を写したものもあったという。 また、同じ12日、米CBSテレビはイラクの刑務所に勤務した米軍の20歳の女性兵士の「ビデオ日記」の一部を報じた。彼女は毒蛇にレンズを向け、「これにかまれたら6時間で死ぬ。すでにイラク人が2人死んだ。でも、それがどうしたっていうの。たった2人じゃない」「きょう私たちは収容者2人を撃った。1人は棒を振り回したから胸を、もう1人は腕だった。胸を撃った収容者が死んだかどうかは知らない」などと淡々と語っているという。
ニューヨーカー誌のセイモア・ハーシュ記者によると、尋問中に死亡したイラク人の遺体は氷詰めにされた後に「点滴をしているように偽装して担架に乗せられ、救急車でどこかに遺棄されたようだ。また、旧アブグレイブ刑務所に収容されているイラク人の多くは「検問所や民家から手当たり次第に連れてこられた一般市民」で、米軍の報告書でも、60%以上が反米武装勢力などとは「何のかかわりもなかった」と結論づけられているという。
イラク人を拘束し、虐待を加えながら、平然と微笑している兵士たちの姿を見て、イラクの人々は憤慨し、世界の人々は一斉に非難の声をあげた。ブッシュ大統領も最終的にこの事実を認め、謝罪したが、この虐待が兵士個人によるものであることわ匂わせて、軍や政府の責任を回避しようとしている。
いずれにせよ、戦争はそこに参加する人々の日常感覚を麻痺させ、しだいに狂気をはぐくんでゆく。「狂気」がなければ戦争など始められないし、また「正気」な人間が戦争という大量殺人など続けられる筈がない。
もし、虐待をしている兵士達がふと、目の前で裸にされ、屈辱的なポーズを強要されているイラク人の男性や女性を見ながら、彼らにも妻や夫や子供がおり、身の上を案じて憔悴している父や母がいることに気付いたとしたらどうだろうか。
そうしたごくあたりまえの想像力さえも奪い取るのが戦争である。この現実の前に、どんな立派な大義も崩れ去るしかない。戦争は一部の人間の「利害」や「狂気」から生まれるにしても、やがて多くの人々がそこに否応もなく巻き込まれてゆく。そしてその集団的狂気から覚めたとき、人々は初めて愚かさをかみしめることになる。
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