橋本裕の日記
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2004年04月29日(木) 共生的個人主義のすすめ

 社会の性格を論じる指標として、「競争的か、共生的か」「集団優先か、個人優先か」という二つの傾向に注目してみよう。この二つの指標を座標軸として採用すると、この両者の組み合わせから、私たちの社会は次の4つのタイプに分類される。

�ゞ�生的個人主義社会(西欧)
��共生的集団主義義社会(アジア、江戸時代の日本)
�6チ菘�個人主義社会(アメリカ)
�ざチ菘�集団主義社会(明治以降の日本)

 私の好みは、集団主義よりも個人主義、競争社会よりも共生社会である。したがって、私が理想とする社会は�ゞ�生的個人主義社会だが、かっての日本は��共生的集団主義社会であり、現在の日本はかなり共生的な側面を残した�ざチ菘�集団主義社会と考えてもよいのではないかと思っている。

 小泉首相やそのブレーンたちの考えているのは、�い侶燭貌�本を純粋化することだろう。国歌・国旗の法制化とアメリカ的な市場原理や自由競争を徹底すれば、その先に見えてくるのはこうした競争原理にもとづく集団主義社会であり、これは私にとって最悪の選択である。こうなったらもう、国を棄てて海外に移住するしかない。

 次ぎに嫌いなのは�6チ菘�個人主義社会である。これが庶民にとってどんなにひどい社会であるかは、現在のアメリカを見てみればよい。たとえばアメリカには70万人もの弁護士がいる。これは全米の警察官の数をも上回っている。これだけの弁護士が必要だということは、それだけ市民相互の紛争が多いということだ。アメリカの市民はこうしたことのために年間700億ドルも費やしている。

 それでもアメリカの刑務所には180万人もの囚人がひしめいている。そして年間1万にもの人が銃で撃たれて死んでいる。日本には2万人ほどの弁護士がいて、囚人の数は最近多くなったといっても6万人ほどである。

 日本では医療費の国民所得に占める割合は6パーセント台だが、アメリカの場合はなんと15パーセントにも及ぶ。これはアメリカ人の健康状態がいかに悪いかを示している。紛争解決や健康管理のためにこれだけのお金を使わなければならないということは、それだけアメリカ社会が庶民にとっては住み難く、ストレスに満ちた非人間的社会だということだろう。

 アメリカ社会のこうした惨状は、自由で競争的な市場原理のたまものである。もちろんこの市場原理は一方では目もくらむ大富豪を生み出すこともできる。かれらは私設のガードマンに守られ、要塞町のなかで安全に暮らすことが出来る。しかし、現在、アメリカでは私設警備員の数が警察官の総数を上回っている。安全のためにも、とほうもないコストがかかるわけだ。

 アメリカは自由の国だといわれるが、実際にこの自由を享受しているのは1パーセントの富裕層だけだ。ちなみに所得上位1パーセントの人たちが現在ではアメリカの総所得の20パーセント以上を独占している。1980年には10パーセントだったから、この20年間で2倍になっていているわけだ。

 さらにトップ5パーセントまでが、所得の35パーセント、トップ10パーセントまでが、46パーセントを占めている。上位50パーセントの人たちが全体の87パーセントを占めているわけだ。納税率で見ると、上位5パーセントの人たちが56パーセントを超えている。大半の国民はブッシュ大統領の減税政策の恩恵を受けることができない。このようにアメリカは貧困の格差をさらに拡大する政策をおしすすめている。

 アメリカのブッシュが大統領になって2年間で、アメリカでは貧困層が300万人も増えて、総数で3457万人をこえたという。人種的にいうと黒人の4人に1人が貧困層に属している。この数はこれからますます増え続けるだろう。そして、アメリカ社会はますます不健康で、犯罪と詐欺や欺瞞に満ちたストレスの多い社会になっていくことだろう。それでも、競争を愛し、個人の自由を貴ぶ人たちはアメリカに憧れる。そうした一握りの「強者」にとって、アメリカがとても住み易い天国であることも事実である。

 しかし私は個人の自由はこうしたアメリカ流の競争によってもたらされるとは考えない。私の考える「自由」は、私設警備員や弁護士や高度な医療設備によってかろうじて守られるような「自由」ではない。多くの人々が身の安全と失業の恐怖に怯え、道端でひもじさと寒さに震えているのを安閑と眺めることは自由ではない。それはただ自由の名の下に行われる不正義であり、虐待である。

 こうした競争によって得られるまやかしの自由より、人々の協力と共生によって得られる自由のほうが、はるかに美しく、自由の名に値すると考える。それは他人の不自由と不幸のもとに生み出される自由や幸運ではない。共生的自由は、他人とともにわかちあう自由であり、幸福である。共生的個人主義を推奨するゆえんである。


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