橋本裕の日記
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昨夜7時頃、、イラクで武装グループが、イスラム宗教者委員会の「占領に関係のない外国人人質を解放せよ」との呼びかけに応じて、高遠さんなど日本人3人をバグダッド市内のモスクで解放した。その際、武装グループは3人に声明文を渡し、日本国内で自衛隊のイラク撤退を求める動きが高まったことが、解放を決断する理由になったと主張した。
米軍のファルージャ掃討作戦に対抗して武装勢力が始めた人質作戦は、今も続いている。昨日は人質になっていたイタリア人が殺害された。また、あらたにフリージャーナリストの安田純平さん(30)と市民団体メンバーの渡辺修孝さん(36)の二人がバクダッド西方で行方不明になっている。
こうしたイラク国内の治安の悪化を受け、人道支援に取り組むNGO(非政府組織)が次々とイラクから離れつつある。紛争地や災害地に医師・看護師を派遣しているフランスの「メドゥサン・デュ・モンド」(世界の医療団)も、イラクに派遣していたスペインとフランスの支援チームが国外に退去、残るギリシャチームの医師も近く退去するという。
病院への医薬品や医療器材の供給を続けてきた日本国際ボランティアセンター(JVC、熊岡路矢代表)の原文次郎さん(40)も、ファルージャからの避難民家族1230世帯に米などの食糧1週間分を配布するために今月5日にイラク入りしたばかりだったが、これらの活動を現地人スタッフや独仏のNGOに委託してバクダッドを退去することにしたという。
熊岡路矢代表は今年1月29日の衆院イラク特別委・参考人質疑で、「軍隊的なものが人道復興援助に関係することで人道援助自体がゆがんでしまい、その中立性が失われ、本来の人道援助機関――国連、赤十字やNGOが危険な立場となる」と述べていた。JVCは9日、「日本政府が占領軍に協力する形で自衛隊を派遣したことが、本来の人道支援を行ってきた民間の人々を危険にさらす結果に繋がったことに深い憤りを表明します」と緊急声明を出している。
熊岡氏は2月15日にバグダッド入りし、一週間滞在して、現地で復興活動に携わる海外のNGOと意見を交換したという。その中には、98年からバグダッドやサマワで、浄水・給水活動を行っているフランスのNGO「ACTED」があった。このNGOは年間約6000万〜6400万円の資金で、10万人を対象に浄水・給水活動を行っているという。
石破茂防衛庁長官の参院外交防衛委での説明によると、陸自の給水能力は一日あたり最大80トンで、給水対象は1万6千人分にしかすぎないという。これだけのために、400億円以上の国税が投じられているわけだ。
ACTEDの現地責任者であるエリザベス・カンパさんは「浄水・給水ならNGOにまかせてもらったほうがはるかに効率的にできる。自衛隊は人道支援とは別の目的で来ているという印象を受ける」と語ったという。フランスのNGOがこうした強力な復興支援が出来るのも、フランスがアメリカの占領政策に批判的だからだろう。現にフランス人も武装勢力に拘束されたが、すぐに解放されている。しかし、これ以上治安が乱れればACTEDも撤退を余儀なくされるに違いない。
これまでイラン復興支援の主体を担ってきたこうしたNGOに加えて、報道関係者たちのイラク撤去も続いている。日本政府は15日、イラク・サマワで陸上自衛隊派遣部隊の取材にあたっていた邦人記者を国外に退避させるため、クウェートで活動中の空自のC130輸送機をイラク南部タリル飛行場に派遣。報道関係者10人をクウェートまで空輸したという。
アメリカは6月の政権委譲を前に、何とかイラクの治安を回復しようと武力攻勢を強めてきた。しかし、これがかえってイラクの人々を反米へと駆り立てることになった。今回の日本人人質解放の過程では、イスラム聖職者グループやアルジャジーラなどの報道機関が大きな役割をはたした。アメリカはこうした人々を敵視するのではなく、むしろ対話を心がけるべきだろう。 武装勢力は声明文のなかで、人質の解放を「日本人への贈り物」だと述べている。私たちはこの贈り物のお返しを、イラクの人々にしてあげたいと思う。それは、イラクをもういちど国際社会に復帰させることだ。このまま、アメリカが強硬姿勢を崩さなければ、イラクはますます混迷し、イラクの戦後復興はますます遠のく。できることなら、今回の事件をきっかけに、日本政府がイラクとアメリカの対話の橋渡しをしてはどうか。人質が解放されたいまこそ、そのチャンスである。
(参考) http://www2.asahi.com/special/jieitai/TKY200402230166.html http://www.jcp.or.jp/akahata/aik3/2004-04-11/03_01a.html
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