橋本裕の日記
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| 2004年04月12日(月) |
ベトナム化するイラク |
今月7日、米軍はスンニ派のイラク人民兵らが立てこもるファルージャのモスクをミサイル攻撃した。さらに海兵隊がこの地区で掃討作戦に乗りだし、すでに住民の死者は450人、負傷者は1千人を超えたという。
ファルージャ近郊では3月末、米国人請負業者4人が武装勢力に殺害された。住民によって損傷を与えられた遺体の映像は米国社会に衝撃を与えた。ソマリアで起こった同様の悲劇を思い出いだした人も多かっただろう。
今回のファルージャ掃討作戦は、この事件がひきがねになっている。イスラム教スンニ派の都市の人口は約50万人。これにたいして、約2千人の海兵隊員が3方向から攻め入った。武装勢力のゲリラ的な抵抗に対して、米軍が武装ヘリコプターのミサイルで住宅地を攻撃し、女性や子供が巻き添えになっているという。
米国が6月末の主権移譲後の権力の「受け皿」と期待する統治評議会は、「軍事的な解決を求めることは罪のない民に対する集団的懲罰だ」との声明を出した。米軍に抗議して辞任する議員もでてきた。ファルージャ救援の動きは、イラク中南部で反占領の動きが広がるシーア派地域にも波及し、いまや、イラク国内では「ファルージャの悲劇を救え」が、宗派を超えた合言葉となっているという。
事実、9日、バクダッドのモスクでは、スンニ派とシーアー派の双方の信者が金曜礼拝でいっしょに祈ったという。フセイン時代対立していた両派が反米軍の立場で共闘をはじめようとしている。これは米軍にとってもはやのきさしならない事態だといえよう。
こうした中で、陸上自衛隊が派遣されているイラク南部サマワで9日、イスラム教シーア派強硬派、ムクタダ・サドル師の支持者ら約300人がオランダ軍の撤退などを求めデモを行ったという。「復興支援活動」をしている陸自への言及はなかったというが、連夜砲弾が発射されたりしている。自衛隊の支援活動もほとんど停止状態らしい。
ハンチントン教授は、米軍のイラク侵攻は「文明の衝突」を激化させるものだとして、反対の立場を表明していた。いまやハンチントン教授の予言が現実のものになろうとしている。ベトナムで起こったことがふたたびイラクで起こるのだろうか。
ひよっとすると、反米軍ということでイラクがひとつになり、アメリカを放逐した後、ひとつの新しい国家として生まれ変わることになるかも知れない。こうしたシナリオは再選を控えたブッシュ大統領にとってはとてもつらいことだろうが、世界にとってはうれしい誤算と言えるのではなかろうか。
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