橋本裕の日記
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2004年02月15日(日) 利己的社会の経済学

 贈与率の高い「利他的社会」では、他者への贈与(投資)がさかんに行われ、経済は自然に活性化する。こうした社会では、他者に贈与しないという利己的戦術は通用しない。なぜなら、自分だけが社会の発展から取り残されてしまうからだ。利他的社会では、利他的に振る舞うことが、最大の自己利益を生み出す。したがって、たとえ突然変異で利己的人間が産まれても、もおのずと利他的に振る舞うようになる。

 一方、贈与率の低い利己的社会では、利他的に振る舞うことは致命的である。なぜなら、他人に贈与しても、それは他人を益するだけで、自分への見返りはないからだ。こうした社会では利他的人間は生きては行けない。生き残ろうと思ったら、自分を利己的な人間へと変えて行くしかない。

 ところで、ここに利他的な国と利己的な国は隣り合っているとしよう。そうすると、利他的な国は投資が活発に行われ、富が急速に増大する。しかし、利己的な国はお金はそれぞれの家庭に死蔵されたままで活用されないから、とうぜん富は増えない。それどころか、隣の国がリッチになった分、相対的に「貧乏」になる。そして金持ちの国と貧乏な国の格差はどんどん広がらざるを得ない。

 こうした情況に、利己的な国の利己的な人々は、「なぜおれたちの国はいつまでもこんなに貧乏で、不況が続くのだ」と内心不満を覚える。利己的な国の王様は、「金持ちになりたかったら、他人にお金を贈与しなさい」と国民に迫り、国中に、「贈与が国をゆたかにする」というスローガンを掲げるのだが、効果はない。利己的社会において利他的に振る舞うことが致命的に不利であることは分かっているし、いまさらこの性格を変えろといわれても、利己的人間にはどうしようもないからだ。

 万策尽きた利己的な国の王様が考えついたのは、利他的な隣国から援助して貰うことである。そこで、さっそく特使をおくり、大金を援助して欲しいと申し出た。利他的な国の政府は援助を拒まなかった。ただし、「あなたがたに必要なのはお金ではありません。お金より大切なもの、それは知恵です。それをプレゼントしましょう」と言って、一人の経済学者を彼らに紹介した。

 利他的な国で利他的な人間として生きながら、利己的な隣国の不遇を気の毒に思い、ひそかに「利己的社会の経済学」を研究してきたというその奇特な経済学者とは、なにを隠そうこの橋本裕である。あさっての日記で、いかに橋本裕が利己的な国の経済を蘇生させるために悪戦苦闘したか、その様子を描いてみよう。


橋本裕 |MAILHomePage

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