橋本裕の日記
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2003年12月14日(日) もっと深く考えよ

 一昨日のtenseiさんの日記「アウシュビッツの傷跡」を読んで、NHKテレビで放映された「死の国の旋律〜アウシュヴィッツと音楽家たち」のことを知った。そこで今日は、番組の内容を紹介したtenseiさんの文章を引きながら、その痛ましい現実について考えてみたい。

<アウシュヴィッツで女性オーケストラの団員となれたために、強制労働からも死からも守られた3人の女性たちは、60年近く経つ今も傷の癒えていない>

 終戦後解放されてから、3人とも当時の楽器はもう弾けなくなってしまった。収容所で演奏した曲を聴いたり、軍服を見ただけで大きな声を出して気を失って倒れたり、これではたしかに日常の生活にも支障を来すだろう。凄惨な人生というしかない。

<彼女たちの口から語られるエピソードの中には、ガス室の誘導係を命じられていた人の中に、自分の父や、自分の子どもたちをガス室に誘導し、そうして処刑後、その遺体を焼かねばならなかった人もいるということだ。みな、自分自身が生き続けることを願っていた、、、けれども、生還してから、自分は生きるべくして生きてこられたのか、と、明確な答の出そうにない難問のために苦しみ苛まれているのだろう。>

 しかも、ホロコーストを生き延びてイスラエルに来た人々が、実は又、パレスチナでこんどは迫害者の側に立っている。それでは何がこの悲しむべき現実をもたらしているのか。

<第三の女性は、戦後解放されてからイスラエルに住居を求めたが、パレスチナ人を難民に追いやっているイスラエルの同士たちを、ナチスと同じことをしていると批判してドイツに戻った。>

 今、イスラエルの若者の間で、以前に父母達が棲んでいた国の国籍をとる動きが広がっているそうだ。法律上は彼らには特別に「二重国籍」が認められているらしい。良心的なユダヤ人の多くは、現在のイスラエルとパレスチナの現状に絶望しているのではないだろうか。

 ナチスドイツによるユダヤ人の虐待や虐殺は、それが一流の文化を持った国に棲む人々の間で起こったといういう意味でも、人間性に対する大きな脅威だと言える。文明や文化が、じつはこうした途方もない野蛮を生み出すというのは恐るべきことである。そして、これは決して過去の問題ではない。現に今、私たちのまわりで起こっていることだ。

<多くの印象的な言葉を聞かせてくれる番組だったが、「アウシュヴィッツは叫んでいる。 人間たちよ、もっと深く考えよ」という最後の言葉が印象的だった>

 いま地上で行われていることは、決して他人事ではない。私たちに必要なのは、こうした当事者意識に立った、もっと誠実で真実味のある思考だろう。私たちはこの現実を前にして、もっと深く考え、もっと聡明に生きなければならない。

(参考サイト) http://www.enpitu.ne.jp/usr1/18221/


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