橋本裕の日記
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2003年12月09日(火) 年金積立金の不正使用をやめよ

 小泉首相は昭和17年生まれだという。実はこの年に年金制度ができた。建前は、「老後の生活を安泰たらしめる」ためだが、その目的ははっきりいえば、「戦争遂行のための財源作り」である。

 戦後も年金制度は継続された。建前は「ゆたかで安心のできる老後生活」のためだが、本音は「戦後復興のための財源作り」である。そして復興してからは、「官僚の利権と天下り先の確保の原資」になった。右肩あがりの経済が終わり、年金制度の虚構がだれの目にも明らかになってきた。しかし、官僚や政治家は詭弁を弄して、その責任を認めようとしない。

 2002年現在、天下りした団体が食いつぶした年金掛け金は7兆8620億円になり、年金業務の経費として流用された掛け金などをあわせると、10兆円以上が失われた。そして1999年現在、年金福祉事業団など13以上の団体へ、2,302人もの官僚が天下っている。こうしたあきれた実態にほおかむりして、「負担と給付バランス」を言うのはアンフェアである。

 日本は147兆円にもなる世界に例のない巨額の積立金をもっている。この先数十年間はこれを計画的に取り崩して年金給付にあてればよい。そして原資がなくなった段階で、年金は国庫負担にすべきである。ただし、支給額は生活に必要な最低額にして、それ以上の生活保証が得たければ、各人が自己責任で別個に私的な年金に加入すればよい。積立金など余分に持っていても、官僚と政治家の利権の原資になるか、国の借金や戦争の資金になるだけだ。

 国庫負担の財源を消費税に求め、給付金を国民一人当たり、一律に支払うことにすれば公平さが保てる。事務の繁雑さがなくなり、公務員の数も大幅に削減できる。これによって、複雑怪奇な年金行政はガラス張りになり、暗闇に巣くっていた魑魅魍魎のたぐいを一掃することができるだろう。

 年金問題について、国会でまっとうな意見を展開しているのは、共産党くらいである。10/4の「赤旗」から、日本共産党・小池晃議員の、10/2参院予算委員会での総括質問の一部を資料として引用しよう。

−−−−−−小池議員の総括質問(資料)−−−−−−

二〇〇〇年度で厚生年金平均月額十七万七千円、国民年金の平均で月額五万一千円、自営業者だと四万四千八百円にすぎない。日銀の世論調査(九月)でも、年金だけでは日常生活費程度も賄うのが難しい、こういう回答が増え、五割を超えています。これが国民の声ですが、総理は現状の年金水準をどう考えていらっしゃいますか。

財務省の案では、「年金は最低限の生活を保障できればよい」と。塩川財務大臣は「(現役所得の)40%程度を保障すればいいんじゃないか」と発言している。これでは三割以上の年金削減ということになるんです。

社会保障の問題で総理と議論をすると、いつも「給付と負担の問題」だと言う。給付を増やしたいなら負担我慢せよ、負担がいやなら給付を我慢せよと。これでは国の責任はどこにも出てこない。

 年金財政が今急速に悪化している原因を明らかにすることなしに改革の方向というのは出てこないはずだと思うんです。そこで、急速に最近悪化してきている原因がどこにあるのか、これを議論したい。

 最大の原因は、政府のリストラ支援、中小企業つぶしのせい。この結果、年金の支え手が急速に減っているわけです。

これは一九九九年に政府が立てた見込み、ごく最近立てた見込みと比べて、二〇〇〇年度、わずか一年後で二百十一万人減っている。二〇〇一年度には二百八十二万人、厚生年金の加入者が減っている。その結果、保険料収入は、賃下げの影響もあって、二〇〇〇年度で一兆一千億円、二〇〇一年度で一兆八千億円減っている。たった二年間で入るべき保険料が三兆円も入っていないわけです。

 見込み違いはもう一つあります。積立金の運用の失敗です。この二年間で運用収入が二兆八千億円、予想より減っているわけです。合わせると六兆円でしょう。前回(年金)改定からわずか二年で六兆円も見込みが狂っている。足元がどんどん今崩れているわけですよ、総理。

 景気の悪化とリストラの支援ということで年金収入が急速に悪化している。重大な事態だというふうに思われませんか。ここを直ちに立ち直らせなければ、年金の制度の未来はないと思う。総理答えていただきたい。

 年金財政を悪化させたのはこれだけじゃありません。支え手を減らしたということを一つ挙げましたが、三つ原因があると思っています。

 まず、基礎年金に対する国庫負担二分の一への引き上げの先送りです。九四年の国会で、自民党も賛成して九九年までにやると付帯決議を上げて、実は四年前にやるべきことだった。それを先送りしたんです。そのうえ、来年度やらなければいけない二分の一への引き上げをまた先送りしようとしているじゃないですか。

二〇〇四年までに財源を準備して二分の一に引き上げる。五年間準備期間があった、それをやらなかったのは政府の責任じゃないですか。今もう十月ですよ。来年までにこれをやれるんですか。先送りは断じて許されない。

それから二番目、積立金の運用の問題です。

 株式の問題で大変な穴を開けているわけです。六兆円も穴を開けて、五年後までに積立金を全部自主運用に回そうとしている。これで一体どれほどの損失が出るのか。

 今日は、もう一つの損失の問題を取り上げたい。年金資金、掛け金を、どぶに捨てるように無駄遣いしてきたハコもの造りの問題です。グリーンピアの問題です。これは年金掛け金を利用してレジャーランドを造ったわけです、全国十三カ所に。それが大規模年金保養基地と言われている、通称グリーンピアです。

全国のグリーンピアが経営不振で、政府は再来年までにすべて廃止、売却をするという方針だと言いますが、売却できたんですか。売却の見込みが立っているところはあるんでしょうか。

 グリーンピア岩沼の売却価格は三億六百八十五万円ですよ。二本松は三億三千百九十万円。九十億円もかけて造った施設ですよ。それを三億円で売る。維持管理費九億円掛かっているんですよ。それを維持管理費の三分の一にすぎない価格で売りとばす。

 こういうやり方をしておきながらだれも責任を取っていない。年金掛け金を次から次へと株式に投資をし、あるいはこういうハコもの造りに投資をし、そして赤字で行き詰まったら二束三文で売り払う、こんなやり方をしていて、国民に対して年金を削減する痛みを押し付ける。総理、こんなことができるんですか。

昭和六十三年に総理は厚生大臣をやっているんですよ、これを造ったときに。今度二束三文で売り渡すところを。

 その後二回目の厚生大臣になって、そのときに、ああ間違ったことをやったのかなと思ったのかもしれないけれども。あなたが厚生大臣のときにこういうことをやっていたことははっきりしているんです。

 しかも、改革したとおっしゃるけれども、何が変わったんですか。年金福祉事業団、確かになくなりました。年金資金運用基金と名前は変わりましたよ。でも、年金資金運用基金の理事長はだれですか。厚生労働省の事務次官が天下りしているじゃないですか、いまだに。そして、株式運用をして大変な赤字を出している。何も変わっていないじゃないですか。

総理、はっきり答えていただきたい。今の年金制度をめちゃくちゃにしてきた三つの原因。これを変えるつもりがあるのか、きっぱり改めるつもりはあるのか。

 基礎年金に対する国庫負担を、約束通り来年引き上げる。そして、積立金でこれだけの損失を作ってきた。これを反省して、積立金は取り崩していく、そういう方向へ行くべきです。

 そして、リストラ支援の政策を根本から改めて、雇用を守っていく、大企業に対して責任守らせ、年金の支え手を増やす。こういう仕事をやらないで国民にだけ痛みを押し付けるなどという議論が通用すると思うんですか。

総理は「保険料で取るのか税金で取るのか」と。まるで右のポケットから取るのか、左のポケットから取るのかと、国民からしぼりとることしか考えていない。私は税金の使い方を変えなさいと言っているんです。保険料で取るのか税金で取るのかじゃない。税金の使い方を変えろと言っているんです。

 そもそも、国民が国と地方に納めている税金のうち、社会保障として返ってくるいわゆる見返り率。これを見ると、アメリカは47%です。イギリス43%です。ドイツ44%です。税金の四割が社会保障として戻ってくるんです。ところが日本は29%ですよ。サミット諸国で最低です。公共事業の無駄遣いが続いている。これをやめれば、欧米並みにすれば、年金財源、十分生み出すことできる。

 年金財政を悪化させた三つの原因を改めることこそ年金財政立て直す道です。徹底的に歳出を見直して、国庫負担を引き上げる。世界に例のない巨額の積立金を計画的に取り崩して年金給付と、保険料の軽減にあてる。大企業に雇用責任を果たさせ、年金の支え手をふやす。そして、深刻な年金制度の空洞化を解決するために、全額国と大企業の負担による最低保障年金制度を作っていくことを、私ども全力を挙げて進めてまいりたい。質問を終わります。


橋本裕 |MAILHomePage

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