橋本裕の日記
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| 2003年11月26日(水) |
動物はレイプをするか |
私は現在高校で数学を教えているが、もともとは物理学が専攻で、生物や化学を教えていたこともある。生物を教えていたころに「進化論」に大変興味をもち、ダーウインの「種の起源」(岩波文庫)なども読んでみた。
進化論もいろいろな説があり、勉強してみると興味が尽きない。最近共感したのは朝日新聞の文化欄に載った、東京大学大学院教授の西垣通さんの「共生システム」についての文章だ。
<共生というのは生物の本質的活動である。たった一つの細胞でさえ、ミトコンドリアという「異種生物」と共生しなくては生きられない。そして、われわれのような多細胞生物は、各細胞が生きるために協同しているのだ>
先日、NHKの「ふしぎ大自然」を見ていて、動物の求愛ダンスの面白さについ笑ってしまった。エイのオスは水面高く飛び上がることで求愛するが、メスはオスに競わせて、そのなかから気に入ったオスを選ぶ。選ばれたオスはメスに腹を見せてメスの下に潜り込み、メスを上にして二匹がお腹とお腹をあわせる。
魚の中には求愛行動が入れられないと、メスに噛みつくオスがいる。噛みつかれたメスはじっとしていますが、そうしてオスが油断した瞬間、反対にオスに噛みつき返し、オスの方が降参するシーンもあった。番組の副題の「男はつらいよ」というのが、なんともユーモラスで、面白かった。
昭和大学医学部の先生が論文をでっちあげて教授になったそうである。生物学の分野でも、強姦だとかレイプだとか物騒なことを自然界に持ち込んで、「動物もレイプをする」などという論文を書く学者やジャーナリスト(たとえば週刊文春(11/20)掲載の竹内久美子さん)がいるが、こうした諸先生方にもぜひ見て貰いたい番組だと思った。
私は動物の世界には基本的にレイプはないと考えている。そこにあるのは、<生殖>のための自然な行動だ。それを強姦と見るのは、人間の勝手な空想だろう。<生殖>のためではなく、性欲だけで、あるいは性欲よりも歪んだ支配欲のために、相手を傷つけて快感を得る、あるいは抑圧から解放されたくて憂さを晴らすということは人間(狂ったサル)だけが行う利己的な野蛮行為だと思っている。最後に、私の好きなホイットマンの詩をひとつ。
ぼくは道を転じて、動物たちとともに暮らせるような気がする 彼らはあんなに穏やかで、自足している ぼくは立って、いつまでもいつまでも、彼らを見る 彼らは、おのれの身分のことでやきもきしたり、めそめそしたりしない 彼らは、暗闇の中で目覚めたまま罪を悔やんで泣いたりしない 彼らは、神への義務を論じたてて、ぼくに吐き気を催させたりしない 一匹だって、不満をいだかず、一匹だって、物欲に狂っているものはいない 一匹だって、仲間の動物や何千年も前に生きていた先祖にひざまずくものはいない 一匹だって、お上品ぶったり不幸だったりするやつは、広い地球上のどこにもいない (「ぼく自身の歌」より)
(参考)「橋本裕、共生論入門」 http://home.owari.ne.jp/~fukuzawa/kyousei,.htm
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