橋本裕の日記
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2003年10月30日(木) エロスの匂う短歌

 これは私の独断だが、俳句はもともと男性的で、短歌は女性的な要素が多いのではないかと思っている。短歌にはロゴスよりもエロスが似合う。たとえば、結核病棟の医師をしていた上田三四二さんの短歌に、女体をうたったこんな作品がある。

 おとろえていく眼には乳暈のなかの乳嘴のうすくれなゐよ
 膝いだき背くぐまるときつぶされてつぶされがたき乳か溢れぬ
 脱衣をとめまぼろしに来てみづの湧くくごときさびしき胸を聴かしむ
 輪郭があいまいとなりあぶら身の溶けゆくものを女とぞいふ
 疾風を押しくるあゆみスカートを濡れたる布のごとくまとふ

 短歌を作る人は圧倒的に女性が多いのではないだろうか。和歌や短歌においては万葉の昔から男女同権、あるいは女性上位が確立されていたようにも思う。

 きっちりと膝をあわせて君へ向く熱い乳房を持たぬ顔して

 これは磯辺朋子さんの歌。河野裕子さんの次の二首もいいなあ。いのちのみずみずしさが匂っているようで。

 ブラウスの中まで明るき初夏の日にけぶれるごときわが乳房あり

 今刈りし朝草のやうな匂ひして寄り来しときに乳房とがりゐき

 最後に、エロスの匂う短歌・俳句つくりを目差している私の駄句をひとつつけくわえよう。

 墓洗う女の乳房ゆれにけり  裕


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