橋本裕の日記
DiaryINDEXpastwill


2003年10月22日(水) 中国に必要な衛生インフラ

 最近は朝晩めっきり寒くなり、いよいよ秋が深まりを見せてきた。そしてその先に、冬がある。今年の春に流行した新型肺炎(SARS)は、死者812人、感染者8439人にのぼった。これがまた冬に復活し、猛威を振るうのではないか心配である。SARSの他にもいろいろな感染症の流行が心配されている。

 過去の感染症の流行を調べてみると、中国が発祥地であることが多い。古くは1348年にヨーロッパで流行したペストがそうである。わずか3年間でヨーロッパの人口の三分の一の2000万人以上の人々が死亡した。このペストはシルクロードを通って、中国の南宋からやってきたのだという。

 当時モンゴル帝国はアジアからヨーロッパまで版図をひろげ、シルクロードを通して、東西の交通が盛んに行われていた。この交易ルートに乗って、ペスト菌を運ぶネズミも運ばれたのではないかという。中国でもペストは大流行し、1200年には1億3千万人だった中国大陸の人口は、1393年には半分以下の6千万人になった。モンゴル帝国が滅びた原因の一つがこのペストの流行だという。

 18世紀には日本にも上陸したコレラや、ペストの流行がある。1918年には「スペイン風邪」と呼ばれるインフルエンザが猛威をふるった。日本でも2300万人以上が感染し、39万人が死亡したが、世界で6億人が感染し、死者は2千万から4千万にのぼったと言われている。スペインの王室の一員がこの風邪にかかり、報道されたのでこの名前が付いたが、これも発祥地は中国・広東省だという。ときあたかも第一次大戦の最中で、西部戦線でにらみあっていた両軍の兵士の間に蔓延し、世界に広がった。

 このように世界を襲った感染症はほとんど中国からはじまり、世界に広がっている。その理由は、中国の風土と人口の過密に加えて、公衆衛生観念が乏しいことが上げられる。上下水の設備を中心とする公衆衛生インフラが欠如していることは現代の中国にも言える。B型ウィルス感染者は1億人を超え、肺結核感染者が4億人いると中国の衛生省が発表している。WHO(世界保険機構)は首都・北京でさえ、人口の5割は寄生虫保卵者であるとしている。HIV感染者・患者数は、02年上期ではすでに100万人を突破、2010年には1千万人に達するとの予測が発表された。

 中国はソ連、アメリカに続き、有人人工衛星「神舟」の打ち上げに成功し、宇宙開発大国の仲間入りをしたが、その内実をみるとお寒い限りで、国民の健康福祉の面ではるかに世界の後進国だといわなければならない。これが改善されない限り、世界はこれからも中国大陸発の感染症の恐怖にさらされ続ける。グローバリゼーションの格段に進んだ現代において、その脅威もそれだけ大きい。世界の安全のためにも、中国の衛生改善を要求し、またODAの最優先課題として支援して行くべきだろう。

(参考サイト) 「国際派日本人養成講座 、疫病が変えた地球史」伊勢雅臣
     http://www.melma.com/mag/56/m00000256/


橋本裕 |MAILHomePage

My追加