橋本裕の日記
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フィンランド人はフン族の末裔だという。フン族とは中央アジア・キルギス高原にいたアジア系遊牧騎馬民族で、中国では「匈奴」と呼ばれた。フン族は4世紀後半にカスピ海北方経由でドン川を越え、ゲルマン諸族中最東端の東ゴート族を征服(375年)。他のゲルマン諸族を触発し、「ゲルマン民族の大移動」を引き起こした。
5世紀にはヨーロッパを席巻し、アッティラ大王(在位 433-453)の下、ドナウ川中流域のパンノニア地方(現ハンガリー)に大帝国を築いたが、大王の死後に内紛と疫病が原因で帝国は崩壊した。ちなみに、「ハンガリー」もまた「フン族の国」の意味だ。
地図の上でみると、フィンランドと日本は東西に離れているが、地球儀を上から覗くと、これが意外に近い。北極海を挟んでほとんど「隣国」と言ってよい。もしフィンランド人がモンゴル人と兄弟なら、日本人とも兄弟だということになりそうだ。フィンランド人のお尻にも蒙古斑がるという話を聞いたが、これは俗説だろう。混血が進んで碧眼・金髪になった現代のフィンランド人はどこからみても北欧ヨーロッパ人である。フン族の痕跡をもっとも残しているのはフィンランド語ということになりそうだ。
フィンランド語は「ウラル・アルタイ語」に属するが、日本語とも音が似ている。フィンランド語を発音するには、日本語式にローマ字読みすればよい。たとえば、「豚」のことをフィンランド語では「シカ」、「狼」のことを「スシ」、「鶏」のことを「カナ」と言うらしい。又、フィフィンランドで男性に多い名前は、「ミカ」「アキ」「アリ」などで、日本の女の子の名前に似ているのだという。
先進国の中で一番森林率が高いのはフィンランド(68.5%)で、日本は第2位(66.4%)である。日本と同様、フィンランドの家は木造がほとんどで、多くのフィンランド人はこれを自分で建てる。家だけではなく、家具を作ったり、内装をしたりも家族や親戚でするらしい。何でも自前でするという手作りの文化を尊重する伝統があるようだ。そして、フィンランドの生活に欠かせないのが「サウナ」である。実は「サウナ」というのはフィンランド語らしい。フィンランドに留学している堀内都喜子さんの「フィンランドEメール日記」から引用しよう。
<さて、その家の中だが、日本との意外な共通点がある。それは、土足を玄関で脱ぐこと。スリッパなどは、はかない。こちらの家のいいところは、いわゆるセントラルヒーティングといわれる電気による暖房。トイレを含む全ての部屋に設置されており、温度の設定も自由で簡単、家全体が暖かい。最近は暖炉も人気で、多くの家の居間に見られる。そして、こちらの家にかかせないもの、それは、サウナ。最近はサウナも24時間風呂ならぬ24時間サウナというのがある。常に電気で暖められており、ヒーターの蓋を開けるだけで、すぐにサウナに入れる。光熱費もそれほどかからないとのことである。
サウナはフィンランド人にとって、単に体を洗う場所ではない。とても神聖な場所であり、つい50年ほど前までは出産はサウナで行われていた。そして大事な政治会談や商談の場面でもサウナは使われ、家庭では家族全員が一緒にサウナに入る。サウナはまさに「裸の付き合い」をする、大切な社交場でもある。
実は、日本にあるサウナも、フィンランド製であることが多い。だが、フィンランド式サウナの入り方は、日本のとは少し違う。まず、サウナに入る前はシャワーで体の垢を落とし、髪も濡らす。サウナに入ってからは、タオルのひいてない、木のベンチに座る。こちらのサウナの中は普通80度〜100度。時々バケツから水をひ杓で、ストーブの上のジリジリ熱くなっている石に勢いよくかける。すると、ジュワーッと一気に蒸気が上がり、顔や体がその熱い蒸気に襲われる。
しかし、サウナは神聖な場所なので大騒ぎは禁物。じっと熱さに耐えるか、周りの人と静かに話しながら何度かこの作業を繰り返す。その時に「ヴィヒタ」で、体を叩くのもまた、良い。これは白樺の木の枝を束ねたもので、見た目とは別に、試してみると全く痛くなく、マッサージといった感じで気持ちいい。また、白樺の枝から何ともいえない新鮮な木の香りがして、気分を落ち着かせてくれる。
やがて、熱さにがまんできなくなったらサウナの外に出る。その後は冷たいシャワーを浴びるもよし、外に出て涼んだり、湖や海が近くにあればそこで泳ぐもよし。冬だったら、雪の上で寝転んだり、勇気があれば、氷の張った湖で泳ぐのもいい。そして、体が冷えてきたらまた、サウナに入って温まる。これを好きなだけ(普通は2、3回)繰り返し、最後に体と髪を洗う。その後はビールを飲んだり、アイスを食べたりしてゆったり過ごす。これがフィンランド式サウナの入り方。ちなみに、男女混浴でない限り、サウナには裸で入る。
最近では様々な装置の付いた豪華なサウナや、24時間いつでも入れるサウナというのもあるが、「湖沿いにあって、薪で暖める伝統的なサウナ」というのが、フィンランド人の理想のようである。
フィンランド人は別荘に行っては湖で泳いだり、日光浴を楽しむ。別荘を持つのと同じように、多くの人が手漕ぎボート、モーターボートも所有しているので、釣りにもよくでかける。自分たちだけの静かなプライベートな時間を楽しみ、のんびりと過ごす。こんな風に書いていると別荘で休暇なんてうらやましいばかり!と思えてくるが、いいことばかりではない。
まず、別荘に行ってすべきは掃除。さらに周りに自然があるのはいいが、夏はハエ、カ、アリが大発生。常に虫との追いかけごっこがつきものだ。そして水道が無い場合は水をたくさん持っていかなければならないし、たいてい店は近くにないので食料もたくさん買い込んでいかなければならない。維持にはお金も手間ひまもかかる、というのが現実。
もちろん賃貸の別荘も最近増えているが、それでも自分の別荘を持つのはフィンランド人の夢。文明から離れて自然の中で休暇を過ごすのはフィンランド人にとってなによりも大切なことなのだ>
フィンランドは社会制度が整っていて、日本ほど労働時間が長くなく、職場と家が近いので生活にゆとりがあるようだ。仕事の成功や昇進よりも家族の生活や自分の時間が大切だと考える人が多いという。子供の教育にはお金がかからず、老後は政府が面倒をみてくれるので、お金を貯めようという発想はなく、現在の生活を心ゆくまで楽しめるのだろう。個人金融資産を1400兆円も貯め込みながら、失業の恐怖におびえてあくせくと働き、あげくのはてに年金制度が崩壊しそうだというどこかの国とは随分事情が違っている。
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