橋本裕の日記
DiaryINDEX|past|will
8.エッチな校医さん
福井の小学校の生活にも少しずつ慣れて来たが、まだまだ戸惑うこともあった。その一つが内科検診だった。パンツ一枚になって校医さんの前に立つ。そうするとその眼鏡をかけた年輩の校医さんは、 「この子はどんな子だね」 隣の担任に訊きながら、私たちのパンツの中を覗く。ご丁寧に前を覗いたあと、後ろを向かせてお尻の方も見る。
この学校ではそれが当たり前なのだろうが、私には何とも滑稽に思えた。それで思わず担任の佐藤先生の方を見ると、 「まだ転校してきたばかりで、よくわかりませんが、スクーターや自動車のことに興味があるようですね」 先生は真面目な顔をして、そんなことを答えている。私が日記に書いたことを覚えていてくれたようだ。
私たちと入れ違いに保健室に入る女子たちの中に葉子の顔があった。彼女の白いブラウスの胸が少し膨らみかけている。私は教室にもどると、茂夫に訊いた。 「女の子の胸やお尻も見るのかな」 「あたりまえだよ。それがお目当てなんだから。佐藤先生なんか、体を乗り出してのぞき込むらしいぜ」
茂夫が大きな声を出すので、私はあわてた。学級委員の藤田君は隣の席で顔を顰めている。何となく気詰まりな雰囲気が辺りに漂った。こうして教室であまり自由に物が言えないのは、帰りの反省会のせいかもしれない。
帰りの反省会では当番の生徒が前に立って司会をする。司会が発言を求めると、誰かが手をあげて、 「S君が今日も掃除をさぼりました。もっとしっかりやってほしいと思います」 「S君、どうなのですか」 「反省しています。これからはしっかりやりたいと思います」
こんな具合に進む。一番多くやり玉に上がるのが茂夫だった。私はこの日、自分の名前が茂夫と一緒に挙がるのではないかと冷や冷やした。
|