橋本裕の日記
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4.孤独な少年
藤田君やその仲間から、私は少しずつ離れて行った。そうすると話し相手がいなくなった。休み時間にはひとりで図書室へ通った。図書室の机に座って本を読んでいると心が落ち着く。しかし、友達がいないのは淋しかった。
そこで私は前の席の石田茂夫という色の浅黒い坊主頭の少年に話しかけた。彼は私より粗末な服装をしていた。そして教室の後ろに掲示されている成績表を見ると、ほとんど青色の×ばかりだった。
彼はクラスの誰からも相手にされていなかった。 「彼とはあまりかかわりあいにならないほうがいいよ」 藤田君は私に忠告をしてくれた。私が戸惑っていると、 「彼はむつかしいんだ。喧嘩っ早いしね」
彼だけでなくクラスの皆が茂夫を不良だと思っているようだ。私はそうした冷ややかな視線にめげない茂夫に魅力を感じた。 やがて茂夫と私は学校が終わってからも遊ぶようになった。 「藤田のやつ、勉強ができると思って、嫌味な奴。あいつの声を聞くとジンマシンが出るんだ」 茂夫は藤田君や勉強のできる生徒ばかりをえこひいきする担任の佐藤先生を毛嫌いしていた。
彼は意外に物知りで、学校のことや社会のことで知らないことをいろいろ教えてくれた。彼はまた人の心を読むことにもたけていた。私は感心して、 「すごいね。君は何でもわかるんだね」 「世間はみんな汚い奴ばかりだよ。しかし君はいい奴だなあ」 茂夫も私を好いてくれた。
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