橋本裕の日記
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| 2002年01月25日(金) |
過剰生産のメカニズム |
昨日は生産性の向上が過剰生産を生み、過剰生産が貧困と戦争を生むという話をした。しかし、こうした結論に至る理論的な検討は行わなかった。そこで、今日は過剰生産を生みだすメカニズムについて、「生産関係簡易モデル」を使って説明してみたい。
いま、ひとつの小さな世界を考え、そこにA,Bという二つの企業体があるとしよう。両者とも同等数の従業員を抱え、労働時間や賃金も等しく、生産物をすべて、この二つが折半して生産していたとする。ところがA社が技術革新に成功し生産性を一挙に2倍にしたとする。
このとき、A社の選択として、たとえば次のような場合を考える。 � ]�働者数、製品の価格を変えずに、労働時間を半分にする。 �◆]�働時間、価格を変えずに、労働者数を半分にする。 �� 労働者数、労働時間をあまり変えずに、製品の価格を安くする。 こうしたA社の対応の結果、どのようなことが起こるか。
� 。措劼亮勸�の自由時間が増大するだけで、製品の優位性はかわらないので、両者は平和的に共存する。やがて、B社も技術革新に成功し、労働時間の短縮をすれば、生産性の向上が、国民全体の労働時間の短縮に結びつく。この場合、需要にたいして供給過剰は生じない。
�◆。措劼力�働者が半減した分、失業が発生する。失業はやがて製品の購買欲の減少に結びつき、そのしわ寄せは、利益率の低いB社の経営をを圧迫するだろう。つまり、間接的にA社はB社に打撃を与えることが出来る。さらに失業によって需要が減少し、過剰供給が発生する。
�� A社は利益率を下げることなく、安い製品を大量に市場に供給することができるので、直接的にB社を圧倒し、これを倒産に追い込むことが出来る。B社の倒産により、多量の失業が発生し、需要が減退して、過剰供給が発生する。
市場原理を優先させた場合、�△鉢�の混合した<競争型シナリオ>が実現し、いずれも「過剰供給」を生むことになる。これにたいして、「ワークシェアリング政策」は�,痢禧β厳織轡淵螢�>の実現を目差そうとするものだといえよう。
実際の市場はもっと複雑だが、基本概念である「賃金」「労働時間」「価格」を変数として組み込んだ「生産関係簡易モデル」はそれなりに有効だと考える。このモデルを使って、さらに進んだ考察を行うこともできるが、今は問題の所在をあきらかにするために、必要な議論に絞った。
科学技術の発達は、本来ならば人類の幸福に結びつくはずだ。たとえば、日本の生産性はこの35年間に13倍以上になったという。ロボット技術で工場の無人化が実現したし、コンピュータの発達は、デスクワークの効率化をもたらした。いずれも本来ならば、人間を労働から解放し、豊かさとゆとりに恵まれたユートピアが実現していてもよいところだ。
しかし、科学技術の進歩によって、労働が軽減されることはなかった。むしろ「過労死」が国際語になり、中高年の自殺者が増大し、ついには自殺者が3万人をこえるという悲惨な現実を招来することになった。どうしてこのようなことになったのか、この簡単なモデルで、私はそのメカニズムをあきらかにしたつもりだが、まだまだ足りないところがあるかも知れない。
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