J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年01月01日(木)    あれ?、俺とふたり、だって、、、

J (3.秘密の恋愛)

3. 想い出の夜 (15)


エレベーターは最上階に着いて。
扉が開く。
シックなピアノの音楽が聞こえる。

私とレイは窓に面したカウンターに腰をおろす。

大きな窓の外は眩いばかりの夜景が拡がる。


「うわぁ、キレイ、、、」

レイは心奪われて感歎の言葉を漏らす。

「だろ。」

私はにこにこして相槌を打つ。

「工藤さん、ありがとう、誘ってくれて。
 私、こんな素敵な夜景、初めて見ます。」
「うん、僕もここ、お気に入りでね。」
「よく来るんですか?」
「いや、たまに、けど、このホテルに泊まったときはいつも、
 さ、レイちゃん、何飲もう、」

「工藤さんは?」
「僕はジントニック、すっきりするから、」
「じゃぁ、私も。」
「ん、カクテルもあるよ、」
「分からないし、」
「そっか、」


私たちはジントニックを飲みながら夜景を見て。

隣り合って座って。
肩と肩が触れ合うぐらい近く。

心ゆったりと開放的な気分。
適度のアルコールも身体に回って。


、、、友美さんもお酒、飲めたらいいのにな。

レイみたいに。

私はふとそんなことを思ったりしました。


「ほんと、いいですね。ここ。」
「うん、気に入った?」
「はい。」

「よかった、少しは大阪の想い出、残さないとね。」
「いい想い出になりますわ。工藤さんとふたりでお酒なんて。」


(あれ?、俺とふたり、だって、、、)

どういう意味だろう、、、

私が黙っているとレイが続けて言いました。

「こうしてふたりでお酒飲むのも、あの晩以来ですね、」


あの晩。
また、その話か。



***

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

明日明後日、都合により「J(ジェイ)」休筆致します。
4日より再開致しますのでよろしくお願いいたします。


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