J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年03月29日(土)    私は友美さんの肩を抱きました。

J (2.結婚)

5. 新婚旅行 (13)


友美さんを呼び捨てにした男、長谷部健二。
その男にジェラシーを感じた私。
その男と知美さんとの関係は?

今まさにそのことを友美さんに聞こうとしているその矢先、
友美さんは私に「ごめんなさい、純一さん、」と言った、、、


友美さんは海を見ていました。
私は車を頭から海に向けて止めました。
ふたりの目の前には熱海のロングビーチが広がります。

「え?、ごめんなさいって?、、、どういうこと?」

私は黙っている友美さんにもう一度聞き直しました。


友美さんは私のほうに顔を向けました。
その顔はとてもすまなそうな顔でした。

「ごめんなさい、純一さん、私がこんなばっかりに、、、」

「どういうこと?」

「純一さん、新婚旅行で南の島に行くの、とっても楽しみにしていたでしょ?
 それなのに、私が、その、だから、行けなくなって、」


  友美さんは妊娠していました。(参照こちら
  そのために大事をとって私たちは予定を変更し、
  近場の温泉に行くことにしたのでした。


「何をおバカなことを言ってるんだ、それはつまり、オレの、、、」

オレの不注意、と言いかけましたが、それは生まれてくる子どもに申し訳ない。


私は友美さんの肩を抱きました。
そして堪らなく愛しい思いに溢れ、夢中にキスをしました。

何度も何度も、、、。

キスをしながら、私は心の中で友美さんに詫びるのです。


ごめんね、ごめんね、

ちょっとでも君のことを疑って、ごめんね、

君は僕の心のうちをまったく知らないのだろうけれど、

僕はつまらぬジェラシーのために君を疑っていたんだ、


ごめんね、ごめんね、ごめんね、、、


・・


そして、、、私はある決意をするのです。

長谷部健二のことはもう聞くのはやめようと。



いいじゃないか!
一番悪く考えてそれを認めておけばいいじゃないか!

あの男と友美さんは何かがあって、そして今も何かがある。
お互いに惹かれあっている。
それでもいいじゃないか!

何もないかもしれない。
それでもいいじゃないか!

関係ないじゃないか!

オレには友美さんの心のうちを束縛する権利はない!

オレにとって大切なことは、
今この目の前にいる愛しい友美さんを信じ、愛することじゃないか!


オレを慕って、オレを愛して、オレと結婚してくれて、
オレの子どもを産んでくれて、オレと共にその子どもを育ててくれる友美さん、

今目の前にいるこの愛しい友美さん、

関係ないじゃないか、あの男がどんな男だって!!!


・・

長いキスの末に私は言いました。

「ごめんね、友美さん、こんなオレで、、、」




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