J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2002年11月24日(日)    海の家にて

J (1.新入社員)

2.夏季研修 (7)


一行は海の家に席を取りました。

海は遊泳禁止になっていて泳ぐことはできません。

本来ならば引率者は万が一のために皆の行動を把握して、
監視に努めなくてはならないのですが、
遊泳禁止とあってはその役目も不要でした。


新入社員の多くはそれぞれ仲のよい者同士で散り散りになり、
思い思いに砂浜で過していました。

甲羅干しをする者、
ビーチバレーをする者、
砂に埋まる者、

子供たちは波打ち際で遊び、
女の子達はかたまっておしゃべりをしていました。
レイもその中にいました。
友美さんも。

私はA部長、B課長と海の家でビールを飲み始めました。

A部長もB課長も営業部ではありません。
ですので、仕事の話は一切なくって気楽に話が弾みます。

友美さんと私との結婚式のことなどが話題になり、
自分の時はこうだった、とか、
へぇ〜、じゃ、その時は大変でしたね〜、とか、
そんな話をしているうちに、酔いが回って、

結婚するとオンナは変わるゾ、とか、
今が一番いいときだゾ、とか、
だんだん説教調に話がなってきて、
これはかなわん、と思ったものでした。


いつの間にか大卒の新入社員の男の子が話に加わって、
一緒にビールを飲み始め、酒を注文し、つまみも頼んで、
昼間から宴会の様相になりました。

新入社員のひとりが私にビールを注ぎながら言いました。

「工藤さん、今度、ご結婚とか、おめでとう御座います。
 でも、いいですよね〜、あんなカワイイ子と結婚できるなんて、
 羨ましいっす、とっても、」

私は少し照れて、
「いや、ありがとう、そんなことはないよ、たいしたことないよ、」
と言いました。

「だってですよ、友美さんって僕よりも年下なんですよ、
 ほんと、おめでとう御座います、羨ましいっす、」
「まぁ、まぁ、君も酒を飲め、えっと、なんて言ったっけ、君、」
「安田、っていいます、業務部に入社しました、」
「そっか、安田君、か、で、君はどうなんだい?、
 仲のいい女友達のひとりやふたり、いるんだろ?、」
「それが、、、」


酒飲んで女の話をしていれば、
世代が違っても話が弾むってもんです。



そのうちにみんなして海の家にあがりこみ、
おとなはみんなして水着姿で酒を飲み、
こどもはみんなして好きなものをたらふく食べ、
みんなして楽しい気分で時が過ぎていきました。



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