J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2002年11月23日(土)    レイちゃんって、胸大きいもんねぇ

J (1.新入社員)

2.夏季研修 (6)


宿舎から海までは歩いて5分位でした。
みな水着姿で海に向かう坂を降りていきます。

先頭にA部長とB課長、
その後ろに新入社員の男女がばらばらと続き、
その後にA部長とB課長のご家族が歩き、
一番後ろに私と友美さんが並んで歩きました。


友美さんは小さな子供に纏わり付かれながら、
微笑んで言いました。

「ね、純一さん、子供ってかわいい、私、子供が大好きなの、」

「オレも好きだよ、結婚したらすぐに子供ができるといいね、」

と、まぁ、ありふれた会話をしていたようです。


レイはと言えば、
同期入社の仲良しの女の子と並んで歩いており、
まわりに男の子が数人、ふざけあいながら談笑していました。

(彼氏がいるってことは、あの中のオトコじゃないな、
 高校時代の同級生かなにかだろうか?)

私は遠目でレイを見ながらそんなことを考えていました。


「純一さん、何見てるの?、レイちゃん?、」

友美さんは私の心のなかを覗き込むように、
そう言って上目遣いに私を見上げました。
私が黙っていると話を続け、

「う〜ん、レイちゃんって、胸大きいもんねぇ、
 身長も高いし、スタイルもいいし、もてるでしょうねぇ、
 ね、純一さんは胸が大きい人、好きなんだもんね!」

と言うので、私は慌てて言いました。

「いやぁ、なに、発育が良すぎるのも色気がないもんだよ、
 やっぱ、中肉中背、トモミさんみたいのが丁度いいんだよ、」

友美さんは顔を赤らめ、話題を変えました。

「レイちゃん、お付き合い始めたばかりなんだって」

「え?、どんな人?、」

「知らないわ、それしか聞いてないんだもん、
 知りたいのなら聞いてあげましょうか、ナイショで、ネ。」

「いや、いいよ、興味ないから、」


私はちょっぴり知りたい気持ちになりましたが、
だからと言って知ってどうなるわけでもないのですし、
また友美さんに妙な疑いをもたれても心外なので、
きっぱりと「聞かなくていい、」と言っておきました。



やがて海岸に出て、海は荒れていました。



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